作業療法
ある人にとって、有意義な生活上の活動行動アクティビティー生活行為をさして作業と表現する。
この時、この意味での作業を用いて、人の生活上の問題解決を試みるアプローチを作業療法とよぶ。
作業療法の基本的構造
作業療法は、人の心身を健康に保つために作業を活かすという発想に基づくアプローチの総称である。
つまり作業療法は、人が作業に取り組むときに生じる様々な現象や関係性や体験を通して、包括的に問題解決する。
作業療法は、問題解決における一つのアプローチに過ぎない。直接性あるいは間接性を問わず、その人の生活に豊さやスムーズさを取り戻すことを目的に、様々な作業を介して、作業療法士は対象者に関わることになる。
作業がもたらす具体性や、象徴的意味合いなどをも活用しながら、対象者である作業主体としての人が作業を通して、「元気になっていく過程」を構造化したものが作業療法であると言える。
作業療法の対象
作業療法は、健康な人を含めた全ての人を対象としうる。
その理由は下記の通りである。
作業を用いて、人をエンパワメントするのが作業療法であるので、作業療法は特に対象を選ばず、全ての人を対象にできることになる。
しかし制度運用上の都合で、障害者を中心として以下のように分類されることも多い。
ひとえにこれは、多くの場合作業療法士の生活が保険制度によって成立していることに大きく影響を受けている。
各種保険制度の対象になりうる人が、上記の領域のいずれか、もしくは複数に重複して属しているからである。
作業療法の歴史
作業療法はどのようにして今のような形になったのかについて述べる。
古代
古代エジプトなどの時代から、病人に活動をさせることが事態を好転させる現象が発見されていた。
近代
産業革命などを通して、人に新しい病が生まれた。その中で、人間らしい生活を取り戻すために、生産性を超えて各種手作業があえて用いられるようになった。
現代
社会はますます複雑化して、シンプルなアプローチのみでは対応しきれない問題が取り残された結果として増えている。
特に、ひとたび社会生活が困難となった人に向けて、病院などの場で社会復帰に向けたトレーニング等の手段として作業療法が用いられている。
2020年
新型コロナウィルス(COVID - 19)の登場によって、作業剥奪の状況下に置かれる人が増えた。
これにより、心身の不調を感じる人も多く、普段何気なく行っている活動の重要性に実利以外の側面から気づかされる人も多かった。
普段の活動は、人にとって作業であるということが図らずも証明されることとなった。
人にとっての作業の重要性はどんな時代でも変わらないことが、多くの人に我が事として実感された。
これは、作業療法の歴史にとっても機会となった。
作業療法の必須要素
理論
詳しくは作業療法の理論を参照
作業療法範囲
以下に掲げる業務については、理学療法士及び作業療法士法第2条第1項の「作業療法」に含まれる。
移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動に関するADL訓練
家事、外出等のIADL訓練
作業耐久性の向上、作業手順の習得、就労環境への適応等の職業関連活動の訓練
福祉用具の使用等に関する訓練
退院後の住環境への適応訓練
発達障害や高次脳機能障害等に対するリハビリテーション