LIFE 科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence;ライフ)

提供:作業療法大百科事典OtWiki
VISITから転送)

日本の介護が経験則に基づく非科学的な要素に偏りすぎている為、介護に科学を導入するためのツールとして、考案された。

令和3年度より本格運用となった、科学的介護(科学的裏付けに基づく介護)を推進するための核となる国の事業であり、提出した情報をビッグデータ化し、それらを基にしたフィードバックシステムの構築を目標としている。

現場の使用感との乖離、使用上の不具合などが、Twitter上をはじめとした各種SNSですでに話題となっている。

問い合わせ先にフィードバックをおこなうことで、使いやすいように提案を行うことが重要と考えられる。

科学的介護の推進ツール

現場として必要なLIFEへの理解

LIFEは科学的介護の推進のためのツールである。医療と同様に、「なぜそのようなケア(介護)を提供したのか」「どのような関わりが対象者に対してどのような効果をもたらすのか」についての説明ができることが、科学的な介護を行うために極めて重要な要素となる。LIFEは、その説明ができるようになるためのツールであるといえる。

その一方で、LIFEを使いこなすためには、科学的介護というものの考え方を理解し、現場で実践するために、現在行なっている業務を必要に応じて変更するマネジメントが必要になる。

そのため、マネージャークラスが科学的介護について正しく理解し、自分の職場に適切な形で業務の中に現場のプレイヤーが取り込めるように、業務を設計することが必要である。また、残念ながら日本には多いが、マネジメントができないマネージャーが仕事をしている場合には、現場の方でマネジメント不全のコストを吸収しつつ、マネージャークラスの上に詳細に報告を行うことが必要である。

社会の大枠で見たときのLIFE

今後医療も、介護も資源が枯渇することは間違いない。なぜなら、若い労働人口が枯渇しているから。

そうした社会背景があるので、これまでのやり方では、必要な支援が必要な人に届かない可能性が出てくる。そうならないためには提供するサービスを取捨選択するための、優先順位の決定方法を国が持っておく必要がある。また、効果の低い取り組みをする事業所については、減算を行うなどすることによって、支出を減らすことが必要になる。つまり、今後、介護の資源にも限界があるので、国としては、導入して情報を提出し、かつ、その成果が高い事業所のみを生き残らせるようにしていくと考えられる。

実際令和3年度改定の時点で既に、介護報酬の申請の要件として含まれているものも多い。

重要なこと

LIFEに関しては、見切り発車的な事業であることは否めない。

何もしないわけにはいかないから、何かしないといけないが、実際にそれがうまくいくかどうかについては誰も責任を積極的にとろうとはしていない。

その分、現場としては至らない内容があった場合には、しっかりと現場の声をフィードバックとしてあげていくことが大切である。というか、それしかできることが今のところないのであり、それが最大の問題であると言える。

利用開始にあたって

利用開始についての説明書

困ったときのQ&A

ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き((外部)株式会社三菱総研ホームページ)

LIFEがよくわかるQ&A(令和3年12月3日修正版)公益社団法人老人福祉施設協議会

概要動画

科学的介護情報システム「LIFE」 厚生労働省老健局老人保健課 石丸課長補佐による解説

令和3年度介護報酬改定とLIFE

LIFEの活用等が要件として含まれる加算一覧(施設・サービス別)

利用できる補助金事業

ICT導入支援事業 【地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分】

最大260万円まで支給 

支給の要件

記録、情報共有、請求の各業務が一気通貫になる

ケアマネ事業所とのデータ連携に標準仕様の活用

LIFEによる情報収集に対応

導入事業所による他事業者からの照会対応

事業所による導入効果報告 等

上記の標準使用については、下記の資料を参照

居宅サービス事業所における ICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引き Ver.1.1.pdf

現状の問題点など

現時点でも、現状に基づいて下記のような予想が成り立つ。問題点の回避のために、事業所単位で努力が必要になると同時に、社会や国に対して必要な要求をしっかりと現場が発信していく必要がある。

真の意味でのIT人材の不足が問題の大きな根底となると考えられる。

事業所ごとのITリテラシー

事業所によっては、おそらくIT人材が不足している場合には、外部のソフトウェアを利用することになる。

そのソフトをうまく使えるかどうかというリテラシーがまず一つ問題となる。

また、一旦軌道に乗ってしまえば問題にはならないが、それまでの業務は確実にこれまでと比べて滞ることになる。

さらに、何か問題がおこった時にタイムリーに解決ができるかどうかや、ITインフラ環境が構築できるかどうかなどについて、ハードウェアの選定などの導入初期コストまで含めると、事業所内にどれだけ人材を抱えていて内製化できるかどうかによって大きく変わることになる。

ここについては、従来の医療介護法人に必要な人材の枠組みから少しはみ出しているので、事業所によっては、対応に非常に時間がかかる可能性がある。

事業所の投資への姿勢

データ提出への投資は、各事業所の負担となっている。

業務負担を考えると、事実上、電子的な介護カルテ記録ソフトを導入・運用することが必須となる。

そのために必要な資金については、各都道府県から補助が得られる可能性があるが、一旦は各事業所の負担となる可能性が高い。

継続運用におけるPDCAとそれを行うための余力を含めた総合的マネジメント

LIFEの概念図や、運用、また国としてのそのモチベーションに、財務上の問題が潜んでいることを考えると、惰性や、事務的作業に終わらせるのではなく、LIFEで提出した情報をもとにして現場の取り組みを改善する仕組みや体制の構築ができないと、今後はおそらく介護報酬を十分に得られない仕組みなっていくと考えられる。

ソフトウェアを用いて仕事を改善していくことが必要になる。

そのような意味で、マネジメントができる人材が一定程度の権限をもって、現場の管理者としてタイムリーに動けるようにしておかなければ、実効性のある改善が困難となり、将来的には十分な加算を受けることができず、事業の継続が困難となる可能性がある。

マネジメントを行える人材の不足と科学的介護の格差拡大

現実問題として、実際に制度が想定するマネジメントが行える人材は、介護の現場に十分に存在するとは言い難い。

都会は別として、田舎であれば、人材も確保が難しい。

そのような現場が多発する田舎においては、マネジメントの徹底や事業所の淘汰は、現実問題として難しく、LIFEの徹底も難しく結局曖昧な運用となる可能性も十分にある。

このようにして、都市部と、地方で受けられる科学的介護の質に非常に大きな格差が生まれる可能性が非常に高い。

利用時の注意点

仕様上の注意[1]

プライバシー保護を最重視した運用方法になっている。そのため仕様を把握していないと、手間やデータ消失などのリスクがあるといえる。

氏名情報等の保存

複数のパソコンで使うには一手間必要

LIFE(旧CHASE)では、

介護サービス利用者の氏名等の個人情報は、厚生労働省へは送信されず、施設・事業所のパソコンのブラウザー内に保存されている。

ので、利用者情報を登録する「管理ユーザー」が使用するパソコンとは別のパソコンで、利用者の氏名等の情報を表示するため には、ブラウザーに保存されている個人情報を共有する必要がある。

要バックアップ

介護サービス利用者の個人情報が消えてしまった場合に復元できるように、定期的に バックアップが必要

バックアップ権限

介護サービス利用者の個人情報のパソコン間での共有やバックアップのために、個人情報を出力する操作は、「管理ユーザー」のみが行える。

データの持ち出しを防ぐためと思われるが、定期的にバックアップを促したり、下記のようなインポート権限となっているので実効性は不明。

バックアップしたデータの読み込み権限

出力したバックアップファイルをCHASEを利用している他のパソコンに取り込む操作は、「インポート」により行う。「インポート」操作は、 「操作職員」も実施可能。

入力時には適宜「一時保存」を

「一時保存」をしないまま一定時間(20分程度)が経過すると、再度ログインが必要になり、入力したデータが消えてしまう。

Q&A

問17 LIFEに提出する情報に、利用者の氏名や介護保険被保険者番号等の個人情報 が含まれるが、情報の提出に当たって、利用者の同意は必要か。[2]

LIFEの利用者登録の際に、氏名や介護保険被保険者番号等の個人情報を入力いただくが、LIFEのシステムにはその一部を匿名化した情報が送られるため、個人情報を収集するものではない。そのため、加算の算定に係る同意は必要ではあるものの、情報の提出自体については、利用者の同意は必要ない。

データ形式仕様書

科学的介護情報システム (LIFE)CSV連携仕様について

LIFE加算様式案

現状

厚生労働省より、平成28年度より運用されている「通所・リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)及び令和2年5月より運用されている「高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)」について、一体的な運用を開始し、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、名称を「科学的介護情報システム(LIFE)」とする予定が示された。

2021/04/04現在

LIFE の利用申請と利用開始スケジュール(令和3年3月中について)

(旧)CHASEの利用申請窓口

LIFEへの新規申請についてお申込みが殺到しており、アカウントの準備等に時間を要しております。

4月5日(月)の週には、LIFEへのログインが可能となる予定です。

日時が確定次第、改めてお知らせに掲載致します。

経緯

令和2年5月より、厚生労働省では、自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するために必要なデータを収集・分析するためのデータベース「CHASE」の構築を行い、運用を開始

https://chase.mhlw.go.jp

問い合わせ先

「CHASE ヘルプデスク」にて受付。下記の E-mail 宛にお問い合わせ。[3]

なお、問い合わせる前に、CHASEマニュアルを確認参照してほしいと記載あり。

【CHASEヘルプデスク 連絡先】 E-mail : chase@toshiba-sol.co.jp
【利用申請ヘルプデスク 連絡先】
電話番号:042-340-8819(平日 10:00~16:00、4 月以降は別番号に変更予定)
E-mail : chase@toshiba-sol.co.jp

情報源

LIFE科学的介護のイメージ-厚生労働省

科学的介護-厚生労働省

介護保険法におけるLIFE関連加算

科学的介護推進体制加算

参照