「レビー小体型認知症」の版間の差分
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シヌクレインと呼ばれる[[脳]]の神経伝達を補助するタンパク質が異常な形で蓄積したものである[[レビー小体]]が脳の中に蓄積されることにより発生する。 | シヌクレインと呼ばれる[[脳]]の神経伝達を補助するタンパク質が異常な形で蓄積したものである[[レビー小体]]が脳の中に蓄積されることにより発生する。 | ||
==アルツハイマー型認知症との鑑別== | ==診断== | ||
===心筋シンチグラフィ=== | |||
レビー小体型認知症では、レビー小体が心臓にもたまってきて、その働きに影響する。<ref name="nhkrev01">[https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1655.html レビー小体型認知症 幻視・歩行障害などが現れる | NHK健康チャンネル]</ref> | |||
===アルツハイマー型認知症との鑑別=== | |||
・幻視があるかどうか | ・幻視があるかどうか | ||
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・注意機能障害 | ・注意機能障害 | ||
・パーキンソン症状 | |||
・前頭葉機能、企画、計画遂行の困難さ | ・前頭葉機能、企画、計画遂行の困難さ | ||
・模写や描画能力の低下 | ・模写や描画能力の低下 | ||
==説明時に参考にできる資料など== | |||
===NHK健康チャンネル=== | |||
[https://www.nhk.or.jp/kenko/disease-379/index.html レビー小体型認知症 | NHK健康チャンネル] | |||
==症状== | |||
診断がつくに至る事前におこる症状が、様々あると言われている。<ref name="nhkrev01" /> | |||
「便秘」「嗅覚障害」「抑うつ」「レム睡眠行動異常」「立ち眩み」「幻視」「パーキンソン症状」のような順で生じると言われている。 | |||
===便秘=== | |||
レヴィー小体型便秘 (Lewy body constipation)として知られるようになった。 | |||
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/57/3/57_176/_pdf/-char/ja レヴィー小体型便秘とパーキンソン病.榊原隆次.自律神経,57:176–180, 2020] | |||
脳よりも末梢神経,すなわち迷走神経(86.7%),腸管神経叢(86.7%),心臓交感神経(100%)などに先に出現する。臨床疫学・実験的研究によれば,腸管神経叢に出現したレヴィー小体は,プリオンと類似の神経感染性を有し,交感神経(胸腰髄の交感神経幹),交感神経(迷走神経,骨盤神経)を経由して,上行性に脳幹部に到達する可能性がある<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/57/3/57_176/_pdf/-char/ja レヴィー小体型便秘とパーキンソン病.榊原隆次.自律神経,57:176–180, 2020]</ref> | |||
===嗅覚障害=== | |||
===抑うつ=== | |||
===レム睡眠行動異常症=== | |||
==環境調整== | |||
===幻視・錯視=== | |||
薄暗い場所で起こりやすい。見間違えや見えないものが見えたりする。 | |||
視覚情報処理能力の低下に由来するとされる。 | |||
===認知機能面の変動=== | |||
一日の中でも、しっかりとものを考え判断できる時間帯と、ぼーっとして情報処理がうまくできない時間帯に分かれる。 | |||
==リハビリテーション== | |||
抑うつ症状が顕著に現れる、幻視・妄想もよくみられるなどがある。 | |||
パーキンソン症状が見られる、等の症状もあり、これらを踏まえてのリハビリテーションが重要となる。 | |||
また進行性疾患である事を踏まえ、本人のみならず環境面へのアプローチも重要である。 | |||
===事例報告等=== | |||
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/65/6/65_1194/_pdf 廃用症候群を呈したレビー小体病に対し,回復期病棟で多職種の介入によってADLが改善した1例] | |||
[https://www.keiju.co.jp/wp/wp-content/uploads/magazine_2019_07_01kawakita.pdf リハビリテーション医療におけるレビー小体型認知症診断・治療の重要性,川北慎一郎.恵寿総合病院 リハビリテーション科,恵寿総合病院医学雑誌 2019 年] | |||
===ADL面=== | |||
遂行機能障害が起こることが予想されるので、どのような点が難しいのか | |||
====嚥下機能の低下==== | |||
飲み込みが難しくなり誤嚥が発生しやすくなることがある。 | |||
=== レビー小体型認知症患者の家族へのサポート === | |||
レビー小体型認知症患者の家族へのサポートは、情報提供と教育、精神的サポート、物理的サポート、および法的・財政的サポートの4つの柱から成り立っている。これらのサポートを統合的に提供することで、家族は患者のケアを効果的に行うことができるとともに、自身の健康と生活の質を維持することが可能である。医療専門家や支援団体は、家族への包括的なサポートを提供するために連携することが重要である。 | |||
==== 情報提供と教育 ==== | |||
LBDに関する知識の不足は、家族が適切なケアを提供する上での大きな障壁となる。したがって、情報提供と教育は家族へのサポートの基本である。 | |||
* 診断情報の提供: LBDの診断が下された際に、医療専門家は病気の進行、症状、治療オプションについて詳細な情報を提供する必要がある。 | |||
* 教育プログラムの実施: 地域の医療施設や支援団体が主催する教育プログラムに参加することが推奨される。これにより、家族は最新の治療法やケア技術について学ぶことができる。 | |||
* 資料の配布: 書籍、パンフレット、ウェブサイトなどのリソースを活用し、家族が必要な情報をいつでも参照できるようにする。 | |||
==== 精神的サポート ==== | |||
LBD患者の家族は、介護ストレスや感情的な負担を軽減するための精神的サポートが不可欠である。 | |||
* カウンセリング: 専門のカウンセラーによる個別カウンセリングやグループカウンセリングを受けることが効果的である。家族が感情を共有し、ストレスを解消する場を提供する。 | |||
* 支援グループ: 同じ経験を共有する他の家族と交流することは、大きな慰めとなる。支援グループの参加により、共感やアドバイスを得ることができる。 | |||
* レスパイトケア: 家族が一時的に介護から離れることができるよう、短期的なレスパイトケアサービスを利用することが推奨される。これにより、家族はリフレッシュし、介護に戻るためのエネルギーを補充することができる。 | |||
==== 物理的サポート ==== | |||
LBD患者のケアには物理的な労力が必要であり、家族が適切にサポートを受けることが重要である。 | |||
* ホームヘルパーの利用: 日常的な介護業務を支援するために、ホームヘルパーのサービスを利用することが有益である。これにより、家族は介護負担を軽減できる。 | |||
* 医療機器の導入: 患者の安全と快適さを確保するために、適切な医療機器を導入することが重要である。たとえば、歩行補助具や特殊なベッドなどが挙げられる。 | |||
* 自宅の改装: 患者が自宅で安全に生活できるよう、必要に応じて自宅の改装を行う。例えば、バリアフリー化や手すりの設置などが考えられる。 | |||
==== 法的および財政的サポート ==== | |||
LBD患者の家族は、法的および財政的な問題に直面することが多い。これらの問題に対処するためのサポートも重要である。 | |||
* 法的助言: 患者の権利や家族の法的義務について専門の法律家から助言を受けることが推奨される。特に、成年後見制度の利用や遺言の作成などが含まれる。 | |||
* 財政支援: 介護にかかる費用を軽減するために、各種の公的支援制度や補助金を活用することが重要である。また、財政計画を立てる際には、専門のファイナンシャルプランナーの助言を求めることが有益である。 | |||
==参照== | |||
<references /> |
2024年7月4日 (木) 08:36時点における最新版
記憶障害や見当識障害などがみられ、記憶、思考、理解、意思疎通、行動の制御などが難しくなる。
シヌクレインと呼ばれる脳の神経伝達を補助するタンパク質が異常な形で蓄積したものであるレビー小体が脳の中に蓄積されることにより発生する。
診断
心筋シンチグラフィ
レビー小体型認知症では、レビー小体が心臓にもたまってきて、その働きに影響する。[1]
アルツハイマー型認知症との鑑別
・幻視があるかどうか
・急激な精神機能の変化
・注意機能障害
・パーキンソン症状
・前頭葉機能、企画、計画遂行の困難さ
・模写や描画能力の低下
説明時に参考にできる資料など
NHK健康チャンネル
症状
診断がつくに至る事前におこる症状が、様々あると言われている。[1]
「便秘」「嗅覚障害」「抑うつ」「レム睡眠行動異常」「立ち眩み」「幻視」「パーキンソン症状」のような順で生じると言われている。
便秘
レヴィー小体型便秘 (Lewy body constipation)として知られるようになった。
レヴィー小体型便秘とパーキンソン病.榊原隆次.自律神経,57:176–180, 2020
脳よりも末梢神経,すなわち迷走神経(86.7%),腸管神経叢(86.7%),心臓交感神経(100%)などに先に出現する。臨床疫学・実験的研究によれば,腸管神経叢に出現したレヴィー小体は,プリオンと類似の神経感染性を有し,交感神経(胸腰髄の交感神経幹),交感神経(迷走神経,骨盤神経)を経由して,上行性に脳幹部に到達する可能性がある[2]
嗅覚障害
抑うつ
レム睡眠行動異常症
環境調整
幻視・錯視
薄暗い場所で起こりやすい。見間違えや見えないものが見えたりする。
視覚情報処理能力の低下に由来するとされる。
認知機能面の変動
一日の中でも、しっかりとものを考え判断できる時間帯と、ぼーっとして情報処理がうまくできない時間帯に分かれる。
リハビリテーション
抑うつ症状が顕著に現れる、幻視・妄想もよくみられるなどがある。
パーキンソン症状が見られる、等の症状もあり、これらを踏まえてのリハビリテーションが重要となる。
また進行性疾患である事を踏まえ、本人のみならず環境面へのアプローチも重要である。
事例報告等
廃用症候群を呈したレビー小体病に対し,回復期病棟で多職種の介入によってADLが改善した1例
リハビリテーション医療におけるレビー小体型認知症診断・治療の重要性,川北慎一郎.恵寿総合病院 リハビリテーション科,恵寿総合病院医学雑誌 2019 年
ADL面
遂行機能障害が起こることが予想されるので、どのような点が難しいのか
嚥下機能の低下
飲み込みが難しくなり誤嚥が発生しやすくなることがある。
レビー小体型認知症患者の家族へのサポート
レビー小体型認知症患者の家族へのサポートは、情報提供と教育、精神的サポート、物理的サポート、および法的・財政的サポートの4つの柱から成り立っている。これらのサポートを統合的に提供することで、家族は患者のケアを効果的に行うことができるとともに、自身の健康と生活の質を維持することが可能である。医療専門家や支援団体は、家族への包括的なサポートを提供するために連携することが重要である。
情報提供と教育
LBDに関する知識の不足は、家族が適切なケアを提供する上での大きな障壁となる。したがって、情報提供と教育は家族へのサポートの基本である。
- 診断情報の提供: LBDの診断が下された際に、医療専門家は病気の進行、症状、治療オプションについて詳細な情報を提供する必要がある。
- 教育プログラムの実施: 地域の医療施設や支援団体が主催する教育プログラムに参加することが推奨される。これにより、家族は最新の治療法やケア技術について学ぶことができる。
- 資料の配布: 書籍、パンフレット、ウェブサイトなどのリソースを活用し、家族が必要な情報をいつでも参照できるようにする。
精神的サポート
LBD患者の家族は、介護ストレスや感情的な負担を軽減するための精神的サポートが不可欠である。
- カウンセリング: 専門のカウンセラーによる個別カウンセリングやグループカウンセリングを受けることが効果的である。家族が感情を共有し、ストレスを解消する場を提供する。
- 支援グループ: 同じ経験を共有する他の家族と交流することは、大きな慰めとなる。支援グループの参加により、共感やアドバイスを得ることができる。
- レスパイトケア: 家族が一時的に介護から離れることができるよう、短期的なレスパイトケアサービスを利用することが推奨される。これにより、家族はリフレッシュし、介護に戻るためのエネルギーを補充することができる。
物理的サポート
LBD患者のケアには物理的な労力が必要であり、家族が適切にサポートを受けることが重要である。
- ホームヘルパーの利用: 日常的な介護業務を支援するために、ホームヘルパーのサービスを利用することが有益である。これにより、家族は介護負担を軽減できる。
- 医療機器の導入: 患者の安全と快適さを確保するために、適切な医療機器を導入することが重要である。たとえば、歩行補助具や特殊なベッドなどが挙げられる。
- 自宅の改装: 患者が自宅で安全に生活できるよう、必要に応じて自宅の改装を行う。例えば、バリアフリー化や手すりの設置などが考えられる。
法的および財政的サポート
LBD患者の家族は、法的および財政的な問題に直面することが多い。これらの問題に対処するためのサポートも重要である。
- 法的助言: 患者の権利や家族の法的義務について専門の法律家から助言を受けることが推奨される。特に、成年後見制度の利用や遺言の作成などが含まれる。
- 財政支援: 介護にかかる費用を軽減するために、各種の公的支援制度や補助金を活用することが重要である。また、財政計画を立てる際には、専門のファイナンシャルプランナーの助言を求めることが有益である。