「上腕骨」の版間の差分
(ページの作成:「上腕骨(じょうわんこつ、Humerus)は、肩関節から肘関節にかけて伸びる長骨であり、上腕の主要な骨である。上腕骨は、腕の動きと力の伝達において重要な役割を果たす。 ==概要== 上腕骨は、肩関節および肘関節の主要な構成要素であり、筋肉の付着点としても機能する。上腕骨は、骨折や腱炎などの臨床的問題に関連しており、保存療法や手術…」) |
(→手術療法) |
||
(同じ利用者による、間の5版が非表示) | |||
10行目: | 10行目: | ||
=== 近位部(Proximal End) === | === 近位部(Proximal End) === | ||
*上腕骨頭(Humeral Head): 球状の構造であり、肩甲骨の関節窩(Glenoid Cavity)と関節を形成する。肩関節の主要な構成要素である。 | |||
*解剖頸(Anatomical Neck): 上腕骨頭のすぐ下に位置し、関節包の付着部となる。 | |||
*大結節(Greater Tubercle): 上腕骨頭の外側に突出し、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の付着点である。 | |||
*小結節(Lesser Tubercle): 上腕骨頭の内側に突出し、肩甲下筋の付着点である。 | |||
*結節間溝(Bicipital Groove): 大結節と小結節の間にある溝で、上腕二頭筋の腱が通る。 | |||
=== | === 体部(Shaft) === | ||
*三角筋粗面(Deltoid Tuberosity): 上腕骨の中央部外側に位置し、三角筋の付着点である。 | |||
*橈骨神経溝(Radial Groove): 上腕骨の後側を斜めに走り、橈骨神経が通る。 | |||
=== 遠位部(Distal End) === | === 遠位部(Distal End) === | ||
*滑車(Trochlea): 内側に位置し、尺骨の滑車切痕と関節を形成する。 | |||
*上腕骨小頭(Capitulum): 外側に位置し、橈骨頭と関節を形成する。 | |||
*内側上顆(Medial Epicondyle): 内側に突出し、前腕屈筋群の付着点である。 | |||
*外側上顆(Lateral Epicondyle): 外側に突出し、前腕伸筋群の付着点である。 | |||
== 上腕骨の機能 == | == 上腕骨の機能 == | ||
60行目: | 60行目: | ||
=== 保存療法 === | === 保存療法 === | ||
*安静: 骨折や腱炎の場合、安静を保ち、治癒を促す。 | |||
*固定: 骨折の場合、ギプスやスプリントで骨を固定し、適切な位置で治癒させる。 | |||
*物理療法: リハビリテーションを通じて、筋力と可動域を回復させる。 | |||
=== 手術療法 === | === 手術療法 === | ||
*内固定: 骨折の際、プレートやスクリューを用いて骨を固定する手術。 | |||
*関節鏡手術: 腱の修復や関節内の問題を治療するための最小侵襲手術。 | |||
2024年6月15日 (土) 13:07時点における最新版
上腕骨(じょうわんこつ、Humerus)は、肩関節から肘関節にかけて伸びる長骨であり、上腕の主要な骨である。上腕骨は、腕の動きと力の伝達において重要な役割を果たす。
概要
上腕骨は、肩関節および肘関節の主要な構成要素であり、筋肉の付着点としても機能する。上腕骨は、骨折や腱炎などの臨床的問題に関連しており、保存療法や手術療法によって治療される。予防には、適切なウォームアップとクールダウン、筋力強化とストレッチ、正しいフォームとテクニック、適切な休息が重要である。上腕骨の健康を維持することは、腕の機能を最大限に引き出し、損傷を防ぐために不可欠である。
上腕骨の解剖学
上腕骨は、いくつかの重要な部分から構成され、それぞれが特定の機能を持つ。以下に主要な構造を示す。
近位部(Proximal End)
- 上腕骨頭(Humeral Head): 球状の構造であり、肩甲骨の関節窩(Glenoid Cavity)と関節を形成する。肩関節の主要な構成要素である。
- 解剖頸(Anatomical Neck): 上腕骨頭のすぐ下に位置し、関節包の付着部となる。
- 大結節(Greater Tubercle): 上腕骨頭の外側に突出し、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の付着点である。
- 小結節(Lesser Tubercle): 上腕骨頭の内側に突出し、肩甲下筋の付着点である。
- 結節間溝(Bicipital Groove): 大結節と小結節の間にある溝で、上腕二頭筋の腱が通る。
体部(Shaft)
- 三角筋粗面(Deltoid Tuberosity): 上腕骨の中央部外側に位置し、三角筋の付着点である。
- 橈骨神経溝(Radial Groove): 上腕骨の後側を斜めに走り、橈骨神経が通る。
遠位部(Distal End)
- 滑車(Trochlea): 内側に位置し、尺骨の滑車切痕と関節を形成する。
- 上腕骨小頭(Capitulum): 外側に位置し、橈骨頭と関節を形成する。
- 内側上顆(Medial Epicondyle): 内側に突出し、前腕屈筋群の付着点である。
- 外側上顆(Lateral Epicondyle): 外側に突出し、前腕伸筋群の付着点である。
上腕骨の機能
上腕骨は、以下の主要な機能を果たす。
肩関節の構成
上腕骨頭は、肩甲骨の関節窩と関節を形成し、肩関節の可動性と安定性を提供する。これにより、腕の自由な動きが可能となる。
肘関節の構成
上腕骨の遠位部は、尺骨と橈骨と関節を形成し、肘関節の屈曲と伸展を可能にする。
筋肉の付着点
上腕骨は、多くの筋肉の付着点を提供し、腕の動きを支える。これには、肩関節や肘関節を動かす筋肉が含まれる。
力の伝達
上腕骨は、肩から手にかけて力を伝達し、日常の動作やスポーツ活動において重要な役割を果たす。
上腕骨の臨床的意義
上腕骨は、その重要性から多くの臨床的問題や疾患に関連している。以下にいくつかの例を示す。
骨折
上腕骨骨折は、転倒や外傷によって引き起こされることが多い。特に近位部骨折(上腕骨頭骨折)や遠位部骨折(上腕骨顆上骨折)は一般的である。
神経損傷
上腕骨骨折は、橈骨神経や尺骨神経などの神経を損傷するリスクがある。これにより、感覚異常や運動障害が生じることがある。
腱炎
上腕骨に付着する筋肉の腱は、過度の使用や繰り返しの動作によって炎症を起こすことがある。これには上腕二頭筋腱炎や三角筋腱炎が含まれる。
上腕骨の治療
上腕骨の損傷は、保存療法および手術療法によって治療される。以下に主な治療方法を示す。
保存療法
- 安静: 骨折や腱炎の場合、安静を保ち、治癒を促す。
- 固定: 骨折の場合、ギプスやスプリントで骨を固定し、適切な位置で治癒させる。
- 物理療法: リハビリテーションを通じて、筋力と可動域を回復させる。
手術療法
- 内固定: 骨折の際、プレートやスクリューを用いて骨を固定する手術。
- 関節鏡手術: 腱の修復や関節内の問題を治療するための最小侵襲手術。