ハンマートゥ

槌指、ハンマートゥ（Hammertoe）、マレット指は、足趾の中節骨が上向きに曲がり、爪先が下向きに曲がる変形を特徴とする状態である。主に第2趾、第3趾、第4趾に発生し、痛みや機能障害を引き起こすことが多い。ハンマートゥは、靴の選択、遺伝的要因、足の構造異常などが原因となる。

病因とリスク因子

ハンマートゥの病因にはいくつかの要素が関与している。以下に主な病因とリスク因子を示す。

靴の選択

• 不適切な靴: 狭い靴やハイヒールなど、足趾を圧迫する靴を履くことが原因となる。
• 硬い靴底: 足の自然な動きを妨げ、足趾の変形を引き起こす。

遺伝的要因

• 家族歴: ハンマートゥは遺伝的要因が関与することが多く、家族に同様の問題を持つ人がいる場合、発生リスクが高い。

足の構造異常

• 長い第2趾: 第2趾が他の趾よりも長い場合、ハンマートゥが発生しやすい。
• 高い足弓: 高い足弓を持つ人は、足趾にかかる圧力が増加し、変形が起こりやすい。

筋肉および腱の不均衡

• 筋力低下: 足の筋肉や腱が弱くなると、足趾の動きを正しく制御できなくなる。
• 神経疾患: 末梢神経障害や脳卒中など、神経疾患が原因で筋肉の制御が不適切になることがある。

症状

ハンマートゥの症状は、初期には軽度であるが、進行すると以下のような症状が現れる。

初期症状

• 軽度の痛み: 特に靴を履いているときに感じる。
• 足趾の硬直: 足趾が硬直し、曲げにくくなる。

進行期症状

• 持続的な痛み: 靴を履いていない時でも痛みが持続する。
• 胼胝（たこ）: 足趾の関節部分に胼胝やウオノメが形成される。
• 腫れと炎症: 足趾の関節部分が腫れ、炎症を起こす。
• 歩行困難: 痛みや変形が進行し、正常な歩行が困難になる。

診断

ハンマートゥの診断は、臨床評価と画像検査によって行われる。

臨床評価

• 視診と触診: 医師が足趾の形状や硬直の程度を視診および触診する。
• 歩行分析: 患者の歩行状態を観察し、問題の特定を行う。

画像検査

• X線検査: 足の骨の変形を評価するために行われる。
• MRIおよびCTスキャン: より詳細な評価が必要な場合に使用される。

治療

ハンマートゥの治療は、症状の重症度に応じて異なる。以下に主な治療方法を示す。

保存的治療

• 適切な靴の選択: 足趾に余裕のある広い靴を履くことが推奨される。
• インソールとパッド: 圧力を分散し、痛みを軽減するためのインソールやパッドを使用する。
• ストレッチとエクササイズ: 足趾の筋肉と腱を強化し、柔軟性を保つためのエクササイズを行う。
• 痛みの管理: 非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）やアイシングを用いて炎症と痛みを管理する。

手術治療

• 関節固定術: 重度の変形の場合、関節を固定する手術が行われる。
• 腱延長術: 筋肉と腱のバランスを回復するために腱を延長する手術が行われる。
• 骨切り術: 変形した骨を切り取って正しい位置に固定する手術が行われる。

予防

ハンマートゥの予防には、適切な靴の選択と足のケアが重要である。

靴の選択

• 足に合った靴: 足にフィットし、十分なスペースがある靴を選ぶ。
• 柔らかい素材: 足趾を圧迫しない柔らかい素材の靴を選ぶ。

足のケア

• 定期的なストレッチ: 足趾の柔軟性を保つために、定期的にストレッチを行う。
• 足の筋力強化: 足の筋肉を強化するエクササイズを行う。

適切な歩行と姿勢

• 正しい姿勢: 正しい姿勢で歩行し、足趾に過度の負担がかからないようにする。
• 定期的な休息: 長時間の立ち仕事や歩行を避け、定期的に足を休める。