ロールシャッハ・テスト
これぞ、神秘性と権威主義による芸術。ただし、統計学的な文脈における科学性とエビデンスはない。
(要するに、権威づけや専門家体をなすために必要とされた側面もある手法で、旧時代のものとなっているという理解で差し支えなく、新しく学ぶ必要性のない心理テストであると言って差し支えない。)
概要
インクの染みが何に見えるかを答えた内容をどう解釈するかを解釈することによって、その人の心理を類型として分析するという手法である。意図の介在を排除することができると言われていた。
さまざまな流派があるところは、さながら宗教である。
統一宗派は「包括システム」と呼ばれている。
批判
エビデンス第一主義が叫ばれる昨今、ロールシャッハ・テスト、もとい「包括システム」もまた批判の対象となっている。
妥当性
要するに、テストとして的外れなのではないかという指摘である。
うつ病ではない人を、うつ病であると判定してしまったりしているらしい。
検証不可能性
「包括システム」が根拠としている情報が公開されていないため、「包括システム」はなぜそうなるのかが客観的に検証できないというブラックボックスと化してしまった。
更新訂正の不可能性
「包括システム」の教祖が亡くなり、後継の指名がなされず、遺族が権利の主張をしたため、改善も改良も不可能となっている。
これにより、今後AIやビッグデータによる統計解析によって妥当性などの検証がなされ、これまでの前提に修正が必要であることが明らかとなった場合でも、その訂正ができないという状況にあるといえる。
このため、「包括システム」が治療上有効な手段とは、主張できない。
R-PASの登場と統計学的処理
「包括システム」の制作者がなくなり権利問題で、その後の発展が見込めなくなったので、いっそ統計学的にエビデンスを強化する方向でロールシャッハテストの整理を目指したのが、R-PASである。
伝統的なロールシャッハ・テストが玉虫色の運用を目指して、科学性が担保できなくなっていることを踏まえて整理されており、最も端的には、回答者の答えの内容が選択肢で制限されている。
これにより、スコアや平均点を算出しやすくなった。
一方で神秘性も権威主義も、不要なものに仕上がった。
なお、日本では十分に普及していないという。
参考
【第3回】最近のロールシャッハ・テスト事情(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房「心理検査室こころ」のための専門メディア 金子書房2020/11/24 17:00