在宅酸素療法
周囲2m火気厳禁
概要
酸素ボンベといえば病院というのは過去の話で、酸素が必要な場合であっても環境調整を行うことによって、在宅でも酸素濃度を高めた状態で生活することができる。
これが在宅酸素療法(HOT)である。
肺の機能が低下している場合などに有効で、単純に呼吸困難を改善するだけではなく活動量の拡大につなげることができる。
作業療法士は在宅酸素療法が生活の幅を広げるように支援する
地域への働きかけ
せっかくの在宅酸素療法である一方、地域によっては「酸素吸入への偏見による地域活動参加の遠慮」が報告されている。[1]
社会参加の支援は作業療法士にとってとても重要な職務であることから、そういった方面での何らかの支援も重要である。
鼻カニューレ
在宅酸素療法では主に、酸素マスクよりも、会話などの利便性を考えたうえで、鼻カニューレが選択されることが多い。
耳の後ろが痛くなることがあるので、必要に応じてクッション材などを用いる。
また、劣化して硬くなっていくので、都度交換が必要である。
延長チューブ
長すぎると、支障をきたすので、一般に延長チューブは流量等に支障がない延長チューブの長さが15~20mくらいが最大といわれている。(機械やボンベの圧力などによる。)
酸素ボンベや酸素圧縮の機械と、在宅酸素療法の対象者をつなぐのはチューブであるが、本体を持ち運ぶかわりに、延長チューブを使用するほうが比較的動作時や移動時の負荷が少なくて済む。
そのため、家の中を十分に移動しきることができるだけの延長チューブを使用することが多い。
しかし、一方で家の中を十分に移動しきるだけの延長チューブの長さはどうしても、一軒家の在宅であれば、10mを超えるような長さになってしまうことも少なくない。
チューブの取り回しが簡単にできるような工夫が必要である。
S字フック
階段や廊下の手すりに設置することで、延長チューブが床に垂れ下がった状態になってしまうことを防ぐことができる。
カーテンレール
本人の家屋内の移動の様子によって、向いている場合とそうでない場合がある。
天井にカーテンレールを設置することで、一筆書きの動線であれば、比較的ストレスなく移動することができるので便利。
動線が入り組んでいる場合や、本人があちこちで入りすることを必要とするのであれば、カーテンレールは向かない。
呼吸同調器
吸気の時だけ、酸素を供給するように電気的に制御された弁がある。電池と電気で動作するので電池切れや故障などに注意して使用する必要がある。
リスク管理
周囲2m火気厳禁
高齢者の方が、石油ストーブ、仏壇(お線香、ろうそくの火)などから火災を引き起こす例があり、電化などであらかじめ対応しておくことが望ましい。
航空機での使用
診断書などが必要となる場合があるので、事前に確認が必要。