川崎病
川崎病(かわさきびょう)は、主に6歳以下の子どもに発症する急性の全身性血管炎(血管の炎症)。川崎病の原因は未だに明確には解明されておらず、ウイルスや細菌の感染、あるいは免疫反応が関与していると考えられている。
早期発見の重要性
川崎病では、冠動脈瘤を形成すると、その後のフォローアップがたくさん必要になる。
そのため早く見つけて、早く治療につながることが重要。
特徴的所見
現在、川崎病の診断基準としても用いられる特徴的な所見がある。[1]
下記に気が付いた場合には、早めの受診が心疾患の発生予防に重要。
- 38℃以上の高熱が続く。
- 白目の部分に血管が浮き出るように赤くなる目の充血。
- 唇・舌の乾燥・充血。とくに「いちご舌」と呼ばれる赤いブツブツが目立つ。
- 大きさや形が異なる赤いまだら状の発疹。
- 手足が赤く腫れ、指先の皮が剥がれむける。
- 首のリンパ節の腫れ。耳の後ろから首にかけて腫れ上がり、触ると硬く感じる。
その他、「熱が出てから、BCG注射を打ったあとが赤く腫れて、かさぶたができる」 も重要。
治療
下記の投薬が、有力な治療手段とされる。欠陥の炎症によって心疾患の合併症を誘発をさせない意図。
免疫グロブリン(IVIG):高用量の免疫グロブリンを点滴で投与することで炎症を抑える。
アスピリン:炎症を軽減し、血液凝固を防ぐために使用される。
予後
早期に適切な治療が行われれば、多くの子どもは完全に回復し、定期的なフォローアップ検診のみで、通常の日常生活を送ることができる。
一方で、やむなく冠動脈瘤が発生した場合は長期的な心臓のフォローアップが必要となる。
長期的なフォローアップが必要な場合
薬物療法
冠動脈瘤がある子どもやそのリスクが高い子どもは、以下のような薬物療法が継続される.
低用量アスピリン:炎症を抑えるため.
抗凝固薬:必要に応じて、血液が固まらないようにするための薬が処方される。場合によっては、一生飲み続ける必要あり。
生活指導
必要に応じて、運動制限や、食生活への指導が行われることがある
定期的な検診
心エコー、心電図、心臓のストレステスト 等
メンタルヘルスケア
心配事の相談などを心理士が行う機会をセッティングすることもある。
社会生活、日常生活の調整
症状の重症度に応じて、職場や学校、日常生活で、必要な環境調整を行う。
発見者と論文
発見者の名前がついている、日本人が発見した病気として注目されることもある。
発見者は、川崎富作[2]である。研究者ではなく、臨床家として活動しながら実績を残しておられる点がすごい。
症例としてのユニークさを説明しても、なかなか受け入れられないこともあったなかで、自説を信じてきちんと発表し続けたことで社会認知されたというエピソードには、勇気をもらう人も多いのではないだろうか。
川崎病第一報 – 特定非営利活動法人 日本川崎病研究センター
日本で発見された疾患概念-川崎病の発見:日本川崎病研究センター川崎富作.日本循環器学会専門医誌 循環器専門医第24巻第1号 2016年2月
よくまとまっているリファレンス
患者様向けコンテンツ
原因不明の「川崎病」 6つの症状と診断・検査、心臓の合併症を防ぐ治療 | NHK健康チャンネル
患者数
乳児は、発症率かわらず。一方3歳以上で、増加傾向。(30年で5倍)[3]
気づけるDrが増えてきていることも考えられるが、その他要因の可能性もある。