ホスピス
ホスピスは緩和ケアの一つ。
概念と定義
ホスピス(Hospice)は、緩和ケアのうちでも末期患者やその家族に対する全人的なケアを提供する医療サービスである。ホスピスケアは、痛みや苦痛の緩和を目的とし、患者の生活の質(QOL)を向上させることを重視する。これには身体的、精神的、社会的、霊的な支援が含まれる。
ホスピスの歴史
初期のホスピス
「ホスピス」という言葉はラテン語の「hospitium」に由来し、中世ヨーロッパでは巡礼者のための宿泊施設を指していた。
最初のホスピス施設は、1065年頃にマルタで始まり、病人や死にゆく人々の世話をするために設立されたとされる。[1]。
あるいは、下記のような説もある。
もともとは巡礼者や病人を休める場であったホスピス。“死にゆく患者のための適切な医療ケアを行う施設”としての原点を作ったのは、アイルランドのメアリー・エイケンヘッド(1787~1858年)といわれているホスピス・緩和ケアの誕生とその世界的な普及を担った医師たち|ホスピス・緩和ケアの歴史【前編】|医師のキャリア情報サイト【エピロギ】
近代ホスピスの誕生
近代的なホスピスケアは、1967年にイギリスのシシリー・ソンダースがロンドンに設立したセント・クリストファー・ホスピスに始まる。彼女は末期患者の疼痛管理と全人的ケアの重要性を訴え、世界中から研修生を受け入れ、ホスピスケアの普及に尽力した[3]
日本におけるホスピス
日本では、1981年に静岡県の聖隷三方原病院に日本初のホスピスが設立された。その後、大阪府の淀川キリスト教病院などでもホスピスが設立され、国内でのホスピスケアが広がっていった[2]。
ホスピスケアの特徴
ホスピスケアは以下のような特徴を持つ。
全人的アプローチ
ホスピスケアでは、患者の身体的苦痛だけでなく、心理的、社会的、霊的な苦痛も総合的にケアする。これにより、患者とその家族のQOLを最大限に高めることを目指す[1][2]。
痛みと症状の緩和
ホスピスケアの中心には、疼痛管理と症状の緩和がある。患者の苦痛を軽減し、できる限り快適な状態で過ごせるようにする[4]。
家族の支援
ホスピスケアでは、患者の家族も重要なケア対象とし、精神的・社会的支援を提供する。家族が患者の最期の時を共に過ごすためのサポートが行われる[2] 。
まとめ
ホスピスは、末期患者とその家族に対して全人的なケアを提供する医療サービスであり、痛みや苦痛の緩和を中心に据え、患者の生活の質を向上させることを目的としている。ホスピスケアの理念は、身体的なケアだけでなく、心理的、社会的、霊的な支援を含む包括的なアプローチを重視している。