レクリエーション

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2020年11月19日 (木) 23:28時点におけるOtfighter (トーク | 投稿記録)による版

作業療法士の基本的スキルの一つ。

身体障害領域でも、訪問業務でもツールとして身に付けおくと、関わりと介入の幅が大いに広がる。

レクリエーションとは、快の感情、ポジティブな心の動きや、積極性を引き出しうる活動アクティビティーのことである。

集団を用いる作業療法においては極めて重要なアプローチである。

作業療法士になるまで、レクリエーション参加経験が乏しいOTSも少なくなく、そのままOTRとなって、提供する側に回ると苦労する実態がある。

そこで、読んで実践すれば効率的に、治療的レクリエーションが行えるような総論的な記事を以下に記す。

また、個々のレクリエーションについては、ページ下部分のカテゴリーを参考にしてください。

レクリエーションの要素

まずもって重要なことは、楽しくなければレクリエーションではないということである。

レクリエーションは漫然と提供しても、治療的なアクティビティーとしては使えない。 例えば、以下のような要素が存在するかチェックが必要である。

快の感情、ポジティブな心の動き、積極性、能力発揮の機会

集団、他者の存在、所属感

連続性、季節感、文化的背景、必要性

レクリエーションの計画

アクティビティーとしてレクリエーションを企画する時には、以下のような項目に留意する。

各項目は、密接に関連するので、多くの場合一つの項目で見直しが必要な時、関連する複数の項目の見直しが必要となる。

対象者

一番に対象者を決定想定する。

対象者を評価する。

想定リスクと対処

どのようなリスクがあるか、どのような事故が起こりうるか、体調不良などの可能性を事前想定する。

対応可能スタッフ数・マンパワー

投入できうるスタッフの数が多ければ、活動の選択肢の幅が広がり、対象者に対してよりきめ細かな対応が可能となる。

準備予算

新しい物品を用意したりする場合には、どの程度の予算が確保できるかが大きく影響する。

必要に応じて稟議書などを提出することも検討する。

時間

どれくらいの時間をレクリエーションにつかうことができるのかを明らかにし、その運用について検討する。

場所

どのような場所が使えるか、また使える場所はどのような場所であるかを、詳細に検討する。

活動内容・難易度調整

上記項目を踏まえて、可能な活動、もしくは挑戦してみたい活動が実践可能なように工夫調整する。

準備物

決定した活動内容に応じて、準備物を手配、揃える。

集合

活動場所へ対象者の方に集まってもらう段取りをする。

解散

解散後集まってもらった対象者の方にどのように移動していただくかを想定する。


業務としてのレクリエーションの留意

作業療法士の説明責任

レクリエーションは漫然と行われるのではなく、意味性や意図を明確にすることが必要であり、作業療法士はそこを明確に説明する責任がある。

ハレとケの意識

ハレとケという概念がある。

ハレは特別で、ケは日常を意味する。このような区別は、昔から普通のこととして行われ、現在でもハレの日という言葉は日常的に使われる。

日常生活を支えるものとして施設で提供されるレクリエーションは、本来特別なものである。

多くの人の日常生活には、「毎日かならず人と集まって集団で何かを楽しむ」という行程は存在しないからである。

人と集まって、一緒に何かをするということは、現代社会を生きる人にとっては感覚的には本来特別なことハレであるはずである。

人間の生活においては、毎日ハレの日ということは本来不自然であり、毎日レクリエーションを提供することはそのバランスを崩すことに留意する必要がある。

時間・季節の流れ・文化

レクリエーションは、そこに参加する人の文化的背景から影響を受ける。

たとえば、ジャンケンの掛け声一つでも、地域性が現れる。

土地によっては、季節ごとにお祭りがある。

全国どこでも正月があり、新年を祝う。

そのような社会的な意味性を、時間の流れを踏まえてうまく取り込めることが、作業としてレクリエーションを用いる上でのコツである。

写真・映像記録の扱い

レクリエーション時の写真は撮影されがちである。施設によっては、映像を記録しており、それが保管されているところもある。

このような記録は、使いようによっては極めて強力なツールとなる。行事としてのレクリエーションはもちろんのこと、普段のレクリエーションの様子を記録しておくことは、レクリエーション対象者と周囲の人の会話を促し、コミュニケーションを繋ぐツールとして非常に有用である。また、その人が普段見せないような新たな魅力や一面を多くの支援者で共有できることは、非常に有効である。

このように、写真や映像の記録の個人のプライバシーなどの問題を事前に解決した上で運用することができれば、非常に強力なツールである。

一方で、各種SNSが社会一般で広く使われるようになった影響で、情報を的確に運用することはますます難しくなっている。

事前に情報の取り扱いを規約で定めておくことが、極めて重要である。