認知症

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2022年11月23日 (水) 06:08時点におけるOtfighter (トーク | 投稿記録)による版

認知症は病態である。病気の名前ではなく、「こういう状態(例えば、記憶障害など)を認知症と呼びましょう」ということ。

認知症となると、困ることがたくさんでてくるが、努力でどうこうならないこともたくさんあるので生き方の問題に直結する。

参考とすべき資料

認知症の予防とケア | 公益財団法人 長寿科学振興財団

概要

認知症は、一般に高齢者に多い疾患である。

しかし、65歳以下の方が発症することもあり、これらは若年性認知症と呼ばれることがある。ライフステージの壮年期にあたり、経済的精神的ダメージが大きく、よほど経済的、精神的基盤が強固でない限り、家族への影響も決して小さくない。

それは、若年性認知症にとどまらず、認知症一般の特性である。

この認知症という疾患を難しくしているのは、まさにこの疾患が当事者にとっても、その人の周囲の人にとっても受け入れ難い要素をたくさん孕んでいるからであると言える。

その一方で、時間を経過するごとに症状が進行していくことを、当事者と周囲の人が受け入れることができたなら穏やかな時間を過ごし続けることすら可能な疾患でもある。

一口に認知症と言っても、その人らしさが現れてくる点で、その症状も千差万別。

なので、最も大切なことは一人一人にあった生活の方法を周囲の人や環境がその人に応じて柔軟に対応させることにあるといえる。そしてそれが誰しもにできるわけではないという前提のもとに、それでもそうあろうとできることが現実的に大切である。

認知症の著名人

決して特別な症候群ではなく、当たり前のこととして受け止めるのに、勇気を持てるかもと思い、あえて、記事の上部に掲載する。

明仁上皇陛下 https://news.yahoo.co.jp/articles/fd0337af081ac1a0fb917ec108853baf2add417f

蛭子能収

大山信代(ドラえもん) https://ja.m.wikipedia.org/wiki/大山のぶ代

おすぎとピーコ https://news.livedoor.com/lite/article_detail/22135999/?fbclid=IwAR32p-WsvaDpg7pdkcgJwnA0vYc3uFdVwcYjsBLQCY-CGnj9g8UhH60fnxs


特徴

大まかに言えば、認知症というのは、記憶をはじめとした、さまざなの機能が低下していく状態である。

一般的に認知症と言われる場合には、アルツハイマー型認知症が想起されることが多い。ただし、認知症にはいくつかの種類があり、アルツハイマー型認知症のように脳全体の萎縮に伴って運動知覚思考などの機能が徐々に失われることで、最終的に外界の知覚とそれに即した表出が困難となったり、運動機能が低下してほぼ寝たきりになるものもあれば、水頭症にともなう認知症のように手術や治療で改善するものもある。

ただ、一般的に認知症とは何かと言えば、脳の情報処理速度や、情報の多角性の乏しさ、マルチタスクなどの機能の低下などが、日常生活に支障を及ぼしたり、あるいは及ぼすような速度で進行するような症候群であるといえる。

そこに、認知症の難しさがある。認知症においては、生活の困難さが時間の経過とともに増していき、本人ができないことがどんどんと増えていくのに従って、本人自身にとっての心身への負担や周囲の介助や介護の負担が増大していく病気であることが一つ問題である。

また、二時的な障害として、周囲の人とのつながりや地域社会といったコミュニティーとのつながりが壊されてしまいやすい障害でもある。これは、介助や介護の負担が単純に増えるのみならず、進行の過程でできないことを認められない当事者の方が自身の病気と折り合う過程で、自身の周囲の人との関係が不可逆的に破壊されて行くことも少なくないのが、この疾患の非常に恐ろしいところである。

逆に言えば、周囲のサポートがしっかりとしていれば、そんなに恐ろしい疾患ではないとも言える。後述する認知症の問題と課題の部分においては、社会も個人も双方の要因が影響する部分である、という理解を多くの人がしておけば、起こりうる問題の多くに対処することができる。

認知症の問題と課題

認知症の問題は、個人の問題と社会の問題に分けて考えることができる。

社会の問題としての認知症

認知症のケアをおこなうリソースは社会が提供することを前提として、さまざまな取り組みや仕組みが形作られている。

一方で、重要なことは、

「認知症の症状を呈する方は、今もこれからも、小子高齢社会の中で人口に占める割合がどんどん上昇していく。」

ということである。

これは、労働生産に関わることができる人の数が減少していくということである。また、直接的に介護の現場ではたらく人の数が減少するということである。

それゆえ、国民ひとりひとりが認知症の病態についてありのままを、知り理解し、深め、考えて、自分だったらどうしたいかということを普段から考えておきたい、身近な疾患であるといえる。

個人の問題としての認知症

認知症になることが恥ずかしい、と感じる人が少なくない。そしてこのことは、認知症の周辺症状を悪化させる要因となる。

「認知症になってもいいじゃない、人間だもの」と思える精神的統合ができることは、認知症のある生を生きていくためには非常に重要であると言える。

また、認知症の有無にかかわらず、うまく周囲の人に頼ることができるかというそもそもの問題である。

このうまく頼るということには、「ありがとう」など、周囲への感謝の気持ちをわすれないことや、自分でできることを自分でやりたいと思いそしてそれを実現することを叶えることができることを含む。このことがとても大切である。

そして、できないことをなんとかしようとすることに固執せず、できるためにはどうすればいいのかを工夫したり、できないことはすっぱりと諦めることや、諦める前に知識や専門性のある人にきちんと相談してみることが大切である。

早期治療の重要性

認知症は早期に生活環境を見直すことで、進行を遅らせたり現状を維持することができる可能性が指摘されている。

また、進行が止められないものであっても、服薬によって症状が若干改善できる場合もある。本人や家族が認知症を、地域社会などから隠そうとする心理は日本では多く見られてきたと聞いているが、全く合理性が無い。

そのため、医療介護保険のサービスをためらわず積極的に活用することが重要であると、推奨されている。

DSM-Vにおける認知症

認知神経障害群の神経認知障害に認知症とMCIが含まれている。

一方で、アルツハイマー型認知症意外では、記憶障害を主要な要件としなくなっている。

逆に、社会的認知機能を重要視するようになっている。社会や環境との関係性がうまくいかなくなり混乱している状態として幅広く捉えることで、効果的かつ可能な介入を増やすことを意図しているともわれる。

認知症への抵抗性

もともと、知的水準の高い人は認知症の症状が進みながらも比較的周囲とうまくやることができたり、自分自身のできなさに折り合いをつけることができる可能性が指摘されている。

これは、周囲の家族の認知機能の能力にも左右されるところである。

つまり、認知症となったときに、まさに本人と周囲の人の認知機能の問題がおおいに影響する。つまり、変わっていく状況に変化対応できる柔軟性や、類推や推測によって試行錯誤を繰り返し、常にまなぼうとする姿勢や、失敗を良しとできるような心構えである。

つまり、時に理不尽に対して、メタ視点が強く、客観性があり、自制的に振る舞うことが要求される。

それができる人ばかりではない、というよりも、できないことが当たり前であるので、当事者と周囲の人との間にはさまざまな衝突が起こることになる。

認知症と作業療法士の仕事

作業療法士をはじめとした専門職は、認知症当事者の方はもちろん、認知症の方の介護をしながら一緒に生活する方々の生活のしづらさや問題にたいしてどのように向き合っていくのかについて一緒に考える。

症状進行を遅らせるためのリハビリテーションと並行して、症状が進行しても暮らしていく、生きていくことを他職種と連携しながら叶えていくことが作業療法士の重要な仕事である。


認知症の評価

スクリーニング

HDS-R MMSEが簡便なのでよく用いられるが、わかるのは「認知症ではない」ことと「認知症の可能性があること」であるので、よく意味合いを理解しておくことが、大切。

評価法の検討

どのような評価が適しているのかについては、状況によるので、自分自身で検討ができるようになっておくことが重要である。

認知症予防教室における対象者の判別法と評価法の検討.斉藤 潤 他.Dementia Japan 19 : 177-186, 2005

定義

認知症は下記のように定義できる。

『いったん発達し獲得された知的能力がの器質的病変により、失われ日常生活に支障をきたす程度に低下した状態』

まず、前提として、人間は成長とともにさまざまな神経的な発達を遂げ、運動や感覚、それらを統合する意思や情緒、思考力などさまざまな認知機能を発達させる。

そのように発達させた認知機能は、人間が社会的存在として生きていくためにとても役に立つもの、というよりも、社会的存在として生きていくためには必要不可欠なものであるといえる。

その必要不可欠な認知機能が、器質的病変によって、失われる、ということは、日常生活にさまざまな支障がでることは当然おこる。

逆に、認知症の方が社会生活が難しくなる原因はもともと獲得されていた認知機能が低下することにあるので、どのような認知機能がどの程度低下しているかということを、作業療法士をはじめとした専門職が把握できることは、その人にとってどのような支援が必要なのかを考える上でとても重要である。

老人性健忘との区別

思い出そうとして思い出せないのが、健忘である。思い出すことができなくても、思い出そうとすることはできる。

認知症の場合は、思い出そうとすることすらできなかったり、自分がしたことに関する記憶そのものが脱落する。

記憶だけでなく、情報処理のコントロールそのものができなくなるのが、認知症であると考えると理解が簡単である。

せん妄との区別

手術後に一時的に、記憶の混乱や情報処理のコントロールに支障をきたしている状態になることがある。

それはせん妄とよばれるが、急激な認知機能の低下の場合には、せん妄を疑う。

せん妄の場合には、症状が急激に進行し、その後、身体状況の改善にともなって、各種症状は改善する。

アルツハイマー型認知症や、脳血管性認知症の場合には、一度進行した症状は改善しない。

鑑別の詳細

項目 認知症 せん妄状態
発症 ゆるやか 急速
経過 慢性、進行性(月単位、年単位) 急性〜亜急性(時間、日単位)
身体状態 神経障害 しばしば全身障害を背景とする
幻覚妄想 少ない 幻視・幻聴が多い
気分感情 無関心〜脱抑制 焦燥感、多動、恐怖感など

うつ病との区別

項目 認知症 うつ病
高次脳機能 認知機能障害 気分障害
注意 基礎疾患により軽度〜重度 集中障害
記憶 短期から長期の記憶障害、遅延再生障害 短期記憶障害(記銘障害)、即時再生可能なら遅延再生も可能

早期発見と早期治療が大切

すぐに病院にかかること、専門医の診断をうけることが大切である。

それによって、進行を遅らせることができると言われているからである。しかし、そのエビデンスについては未だ十分明らかにされておらず[1]、これからの蓄積が必要である。

それよりも大切なのは、人間関係に甚大な悪影響が出る前に、必要な対処がとれることが一番重要な点であり、さまざまなサービスに早めにつながることがそれを実現する。

主に相談員の業務範囲となるが、作業療法士は現場の最前線で実際に対象の方と相対して評価、介入を行う当事者として重要である。

認知症のスクリーニング

HDS-R

MMSE

MCI(軽度認知障害)

認知症の一歩手前の段階として、MCIという概念が提唱されており、この時期に介入を行うことで認知機能を回復することができる可能性が提唱されている。

MCIには以下のような診断基準がある。

1記憶障害の訴え

ADLは正常

3認知機能は正常

4記憶機能検査の成績が同年齢の平均よりも1.5SDを上回って低下している

5Clinical dementia rating scaleが0.5を示す

6認知症とは診断されない

認知症に必要な理解と支援

大きく下記の3つの切り口[2]

1医学やケアの側面から見た認知症に対する知識

2生活し続けるための制度・施策情報

3本人についての情報

上記でも述べたように認知症の最大の問題点は、当事者や家族が認知症という疾患に関する知識が十分にないままに対処しようとすると、良かれと思ってやることなすことの全てが裏目に出て、当事者がこれまで培った人間関係や社会性が破壊されるところにある。

そうならないためには、早期の介入と支援の導入が必要である。

その為には、

1 認知症となった本人が自分自身が認知症であるという事実をごまかしたり周囲から隠そうとしないこと。

2 周囲の人は認知症となった人がどのような言動を取りやすいのか、どのようなことに困るのかについての理解や共感を経て、より良い支援について考えることが

大切である。

作業療法士に可能な支援

作業療法士にはそのために必要な支援を行うためのスキルと知識が領域を問わずに求められる。身体障害領域の対象者を主として関わっていたとしても認知症の方が対象者となる可能性は、高齢社会の日本においては非常に高いからである。対象者の認知機能が低下していたとしても有用なリハビリテーションとは何か、生活行為の改善は何かを考えるためには、作業療法士は認知症については当たり前に理解を深めておかなければならない。

なお、認知機能が低下する症候群の総称。認知症は病名ではない事に注意。

また、せん妄との鑑別が非常に重要である。

認知症になる前からやっておくべきこと

認知症になる前でないとできない有効な対策がいくつかあるので、ご紹介する。

認知症介護は長期戦になることが多いことを知り、覚悟をして日常を送る

自分自身が介護される立場となった時のことを想像し、できる対策を日常のなかでどう積み重ねるかが大切である。

また、自分が親の介護をすることになった時に備えて、趣味レーションをおこなう、そういった話が事前にできるだけの関係性が存在することが大切である。

そうでなければ、長ければ10年をゆうに超えることになる認知症の介護を完遂することは容易なことではない。

まして、当事者となり、自分自身の記憶をはじめとした認知機能が徐々に徐々に失われていく中で、自分の人生を生きていくことなどできはしない。

そのことを、社会構成員として全員がしっておき、支える準備をすること、また、自分の周囲の人が認知症となったときにそっと支えることができるように関心をもっておくことが、翻って自分の将来の生活を支えることになることを自覚して日々を送ることが大切である。

どれだけ真剣に思索を重ねても、日本では、自殺や安楽死は社会的規範への挑戦であり、犯罪であり、許されず、そこに個人の自由も権限もない。そのような世の中で、自分が自分の人生の最後とどのように向き合うかということは、10代から考えておくべき事柄であるといえる。

法的拘束力のある形で自分自身の身の振り方について決定しておく

家族に迷惑をかけるという人が意外と気にしないのが、自分のことを自分で決めることである。

自分のことを自分できめてくれる人を家族が支援する時には、家族の関心はその人の決定にどう応じるかということになる。

一方で、自分のことを自分で決められない時、家族がそれを慮って対処を決定せねばならず、これは非常に大変な作業である。

この大変さは、関連する家族が増えれば増えるほどに増す。

認知症になる前に、「もし自分が認知症になったら、自分で自分のことが判断できなくなったら、自分はどうしたいか」を考えて過ごすことがとても大切である。

認知症対応の民間保険に加入する

認知症となって家族が大変なのは、介護で収入が減少するからである。

介護で減少する収入の幅が、抑えられるとなると家族の大変さは減少する。

介護を担当するかもしれない人を受け取り人と定めた上で、自分の状況に応じた保険に加入しておくことは、有効な対策である。

資産を増やしておく

認知症介護で一番問題になるのは、必要なサービスが十分に受けられないことである。

必要なサービスは今後ロボット化されていく可能性も十分にあるが、それでは対応しきれない部分はどうしても存在し続けると思われるので、やはり人間によるサービスが必須であり、そのサービスを十分に利用するためには、お金が必要である。

もちろん、国家が保証してくれるサービスは存在するが、十分なサービスが受けれるまで障害の程度が上昇するまでには、実際に必要なサービスとの乖離は非常に大きい。

もし資産があれば、そこを穴埋めできる可能性は高まる。

資産はふやしておくに越したことはなく、貯蓄に加えて、なんらかの手段を保有しておくことが安心につながる。

認知症は治るものがある

認知機能が低下するもの全てが認知症ではない。認知機能が低下しても治るものがあるので鑑別が重要である。

その意味でも、「認知症かも」と思った時には早めに受診することが大切である。

水頭症が原因の認知症や、認知症と勘違いされがちなせん妄、過剰投薬が原因の認知機能障害などは、適切な医師に診察をうけ適切な治療を受けることで改善するものがある。

正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫・脳腫瘍、甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症などの代謝性疾患、脳炎髄膜炎などの炎症性疾患に伴う認知症[3]

認知症の種類

アルツハイマー型認知症


脳血管性認知症


レビー小体型認知症


前頭側頭型認知症


皮質基底核変性症


アルコール性認知症薬剤性認知症


正常圧水頭症 ※治る認知症の代表

認知症の作業療法

認知症の正しい理解と需要の促進

認知症の人が一番不安をかかえていく。進行性の認知症の場合には、日々自分がこれまでの自分と変わっていくことに対する不安を抱えて生きていくことになる。

そこで、認知症の方やその家族の方がが、認知症というものに誤解なく正しく向き合えるように支援することが大切である。

それは、BPSDと言われる周辺症状は、ほぼ、不安をベースにして現れてくる為、不安が適切に軽減できれば家族や本人が困り人間関係を毀損する原因となるBPSDは大幅に軽減できる可能性がある。

その為には、家族がHigh EEとならないようにすることが何よりの具体的方策である。

さらに、そのためには、家族本人含めて認知症はどのような疾患なのかをあらかじめ理解し、無理なストレスが本人にかからないようにすること、本人は取り繕おうとせずありのままの自分の状態と向き合うことが大切となる。

作業療法士に必要なこと

作業療法士はまずなによりも、正しく認知症について理解していることが当然のこととして求められる。

そして、認知症の細かな症状、どのような症状が前面にでてくるのかは個別性が極めて高い。

そのため、症候群としての認知症の背景をしっかりと理解した上で、そのような影響が出てくるのかを見極め、評価し、対象者本人と家族が認知症という病としっかりと直面できるように必要なありとあらゆることがらを提供できることが求められる。

作業の項目の選定

認知症の方の残存機能を十分に活かせ、生活の活力となるような作業を選択するべきである。

特に、喪失体験が多い中でも、生きがいを得たり感じられるよう支援する。

そのため、記憶力を向上させようとして、本人のストレスが高まるような脳トレや計算問題、漢字の想起を強制的に行うなどは絶対にあり得ない。

また、認知症の方本人が認知症であることを受け止められなかったり、症状の進行によって心神喪失となっていく過程において、家族をはじめとした周囲の人との関係性が徐々に壊れていくことが少なくないので、その壊れが致命的なものにならないように、必要な支援を行っていくことになる。

一般に家族の方は、認知症に対する十分な知識を学ぶ前であれば、問題行動を叱って抑制しようすることが多い。これは無意味な上に、認知症当事者本人の周辺症状を悪化させるだけの悪手であるがそのことは社会的に当たり前の知識ではないため、家族や周辺の人々が行ってしまっても不思議ではない。そうした関係性や症状を悪化させかねないような関わり方について指摘し、可能な範囲で修正を試みるなども一つの重要な支援である。

また、認知症の方の内面について、代わりに代弁、言語化することで、周囲の人との関係性を改善することも重要な役割の一つである。

認知症は進行性の疾患なので、時間ともに進行の速度に差はあれど症状は基本的に悪化する。

そのため、それまでうまくいっていたやり方ではうまくいかなくなるということが何度も起こることになる。この時作業療法士が都度、再評価を行い、認知症の方本人が残存している能力のうち活用できるものを用いて生活行為をうまく行えるように調整をしたり、人的資源との調整を行う。

認知症進行防止に影響するかもしれないこと

室温

民間報告の域を出ないが、冬場、薄着で過ごせるほどに、室温保持の優れた家での居住者は、室内における活発性を増し、筋肉量の維持、脳への健康につながることがわかっているという報告がある。[4]

参照