ダークパターン
消費者よりも企業にとって都合の良い行動を取るようにし向ける手法[1]
ダークパターン（Dark Pattern）とは、ウェブサイトやアプリケーションのデザインにおいて、ユーザーに不利な行動を取らせることを意図したユーザーインターフェース（UI）やユーザーエクスペリエンス（UX）の設計手法を指す。これらの手法は、ユーザーの選択を誘導し、しばしば意図しない購買やサブスクリプションの登録、プライバシーに対する譲歩を促すものである。
ダークパターンの種類
ダークパターンはさまざまな形で現れるが、代表的なものを以下に挙げる。
隠されたコスト
隠されたコストとは、ユーザーが商品を購入する過程で、最終的な支払いページに到達するまで追加の費用が明示されないことを指す。このような手法は、配送費用、税金、手数料などが最終段階で突然加算される場合に見られる。
サブスクリプショントラップ
サブスクリプショントラップは、無料体験や割引サービスを提供する際に、ユーザーがそのまま有料のサブスクリプションに自動的に移行するように仕組まれたデザインである。キャンセル手続きが非常に複雑であったり、キャンセルの手段が意図的に分かりにくくされていることが多い。
ゲートキーピング
ゲートキーピングとは、ユーザーがアカウントを削除したり、サービスの退会手続きを行う際に、意図的に手続きを煩雑にしたり、ページを隠す手法である。これにより、ユーザーがサービスを離れにくくなる。
誤解を招くUI
誤解を招くUIは、ボタンやリンクが意図的に誤解を招くデザインになっているケースを指す。例えば、通常の期待とは逆に、意図しないアクションを促すような配置や色分けがされていることがある。
確認の過剰要求
確認の過剰要求は、ユーザーが特定の行動を選択しようとした際に、何度も確認を求めるポップアップやダイアログを表示し、行動を阻害する手法である。これにより、ユーザーは煩わしさから意図しない選択をすることがある。
ダークパターンの影響と問題点
ダークパターンの影響は、主にユーザーの信頼を損なう点にある。これらの手法は、ユーザーを意図的に騙すことを目的としており、短期的な利益を企業にもたらす一方で、長期的にはユーザー離れや法的なトラブルに発展する可能性がある。また、ダークパターンを利用した企業は、社会的な非難を受けやすく、ブランドイメージが著しく低下するリスクを負う。
法規制の動き
近年、ダークパターンに対する法的規制の動きが世界各国で進んでいる。特に欧州連合（EU）では、一般データ保護規則（GDPR）に基づき、ユーザーのプライバシー権を侵害するダークパターンに対して厳しい罰則が設けられている。米国でも、カリフォルニア州を中心に消費者保護法が強化されており、意図的にユーザーを誤解させるデザインは法的制裁の対象となる。
ダークパターンに対する対策
デザインの透明性
ダークパターンを避けるためには、ユーザーに対して透明性のあるデザインを提供することが求められる。特に、購買やサブスクリプションに関する情報は、全ての費用や条件が明示されるべきである。
ユーザビリティテスト
デザインがユーザーにとって適切かどうかを検証するためには、ユーザビリティテストが有効である。実際のユーザーからのフィードバックを元に、誤解を招く要素を排除し、ユーザーにとって分かりやすく使いやすいインターフェースを目指す。
法的準拠
企業は、ダークパターンを避けるために、各国の法規制に従う必要がある。特に、消費者保護やプライバシーに関する法律を遵守し、ユーザーの権利を侵害しないデザインを心がけることが重要である。
結論
ダークパターンは、企業が短期的な利益を追求するために使われることが多いが、長期的にはユーザーの信頼を損ない、法的なリスクを引き起こす危険性がある。透明性のあるデザインや法的準拠を通じて、ユーザーとの健全な関係を築くことが重要である。
