アジャイル開発

提供:作業療法大百科事典OtWiki


ソフトウェア開発の手法。

入門者むけ資料

はじめてのアジャイル開発入門 | ドクセル


アジャイル開発

概念と定義

アジャイル開発とは、ソフトウェア開発において、迅速なリリースと顧客のフィードバックを重視するアプローチである。アジャイル開発は、従来のウォーターフォールモデルとは異なり、小さな機能単位での反復的な開発と継続的な改善を特徴とする。アジャイル開発は、変化への柔軟な対応と顧客満足を追求する。

アジャイル開発の原則

アジャイル開発は、以下のアジャイルマニフェストの4つの価値と12の原則に基づいている。

アジャイルマニフェストの価値

1. プロセスやツールよりも個人と対話を重視する: 開発チーム間のコミュニケーションと協力を重視する。 2. 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを重視する: 完全なドキュメントよりも、実際に動作するソフトウェアを優先する。 3. 契約交渉よりも顧客との協調を重視する: 顧客との継続的な協力と関係構築を重視する。 4. 計画に従うことよりも変化への対応を重視する: 事前の計画に固執せず、変化に柔軟に対応する。

アジャイルマニフェストの原則

1. 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供する。 2. 要求の変更を歓迎し、競争力を高めるために変化に対応する。 3. 動くソフトウェアを頻繁にリリースし、短いスプリントで進行する。 4. ビジネス側と開発者が日常的に協力し、プロジェクトを成功に導く。 5. 意欲的な個人にプロジェクトを委ね、必要な支援と信頼を提供する。 6. 対面でのコミュニケーションを最も効果的な情報伝達手段とする。 7. 動くソフトウェアを進捗の主な尺度とする。 8. 持続可能な開発を実現し、開発者やユーザーのペースを一定に保つ。 9. 技術的卓越性と優れた設計に常に注力する。 10. シンプルさを重視し、作業の無駄を最小限に抑える。 11. 自律的なチームが最良のアーキテクチャ、要件、設計を生み出す。 12. 定期的にチームが自己改善を図り、効率的な行動をとる。

アジャイル開発の手法

アジャイル開発には、様々な具体的な手法が存在する。以下に主要な手法を示す。

スクラム

スクラムは、アジャイル開発の中でも最も広く使われる手法である。スクラムは、短期間のスプリント(通常2〜4週間)で開発を進め、各スプリントの終了時に動作するソフトウェアを提供する。主要な役割には、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームがある。主要なイベントには、スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブが含まれる。

カンバン

カンバンは、視覚的なボードを使用してタスクの進行状況を管理する手法である。カンバンボードは、「To Do」「In Progress」「Done」などの列で構成され、タスクカードを移動させることで進行状況を可視化する。カンバンは、柔軟なタスク管理と継続的なフローの改善を重視する。

エクストリームプログラミング(XP)

エクストリームプログラミング(XP)は、ソフトウェア開発の技術的側面に焦点を当てた手法である。XPは、テスト駆動開発(TDD)、ペアプログラミング、リファクタリング、継続的インテグレーションなどの実践を推奨する。XPは、品質の向上と開発速度の向上を目指す。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発には、以下のようなメリットがある。

柔軟性と適応性

アジャイル開発は、変化に柔軟に対応できるため、顧客の要求や市場の変化に迅速に適応できる。これにより、競争力を維持しやすくなる。

顧客満足度の向上

アジャイル開発は、顧客との継続的な協力とフィードバックを重視するため、顧客満足度が向上する。顧客のニーズに即したソフトウェアを提供できる。

リスクの軽減

短期間のスプリントで開発を進めるため、早期に問題を発見し、修正できる。これにより、大規模な失敗のリスクを軽減できる。

チームのモチベーション向上

アジャイル開発は、自己組織化されたチームと対話を重視するため、チームのモチベーションが向上する。チームメンバーの意見やアイデアが尊重され、協力的な環境が促進される。

継続的な改善

アジャイル開発は、定期的なレトロスペクティブを通じて、プロセスやチームのパフォーマンスを振り返り、継続的な改善を図る。これにより、開発プロセスが常に最適化される。

アジャイル開発の課題

アジャイル開発にはいくつかの課題も存在する。以下に主要な課題とその対策を示す。

スコープの管理

アジャイル開発では、要件の変更が頻繁に発生するため、スコープの管理が難しい。対策として、プロダクトバックログの優先順位を明確にし、スプリントプランニングで範囲を明確にすることが重要である。

チームの一体感

自己組織化されたチームを維持するためには、チームメンバー間のコミュニケーションと協力が不可欠である。対策として、定期的なミーティングやチームビルディング活動を行い、チームの一体感を醸成することが必要である。

技術的負債

アジャイル開発では、迅速なリリースを重視するため、技術的負債が蓄積しやすい。対策として、テスト駆動開発やリファクタリングを継続的に行い、技術的負債を最小限に抑えることが重要である。

顧客との連携

顧客との継続的な連携が必要なため、顧客の協力が得られない場合、プロジェクトが進行しにくくなる。対策として、顧客と明確なコミュニケーションチャネルを確立し、定期的なフィードバックを求めることが重要である。