心理的リアクタンス理論

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『ちょうど、今から勉強しようと思っていたのに』

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概要

禁止されると、何故かやりたくなってしまう。その逆も然りで、やれと言われるとやりたくなくなってしまう。

という心理的現象を研究するのが、心理的リアクタンス理論である。

1966年に、Jack W.Brehmによって提出された理論。[1]

心理学者のジャック・ブレームは「人は自由を制限されると反発し、より自由に執着する」ものだと主張しました。https://pdmagazine.jp/background/caligula/


前提となる「行動の自由」

自分の行動を自分で自由に決定できる、という行動の自由が大切であると人間が感じる生き物であることを理解しておくことが必要である。

詳しくは 自由 の項目を参照のこと

現象

「あまのじゃく」「へそまがり」などの言葉で概念化されており、人間社会の中や日本社会においても比較的ポピュラーなものであるといえる。

その特徴の最たるものは、本質的な意味で自分の選択を自分で吟味できず、他者の発言や集団のルールや雰囲気に容易に影響され、その上で「自分で決定した」と認知し、自分の有能感や自由について確認するところにある。

発達段階において、合理性の判断が可能となる前段階から備わっている心理的反応で、自我の確立や自己認知のきっかけとなっている可能性があるため重要である可能性がある。

認知機能の発達とともに、経験や人格、合理的判断の中に統合されることになるが、そうできない人もいる。

自身の社会性をコントロールする上で、心理的リアクタンスの解決が困難なままの型で未熟な対人コミュニケーションを行う人は、大人であるとみなされないことになる。

理性的当事者

心理的リアクタンスの結果としての行動は、不合理的、非合理的なものとなることも少なくない。

人間の脳はそのような決定に快刺激をもたらすような機構が備わっていると推測される。

そのため、心理的リアクタンスについてより高次の認知機能でその機能を統合できる人物しか理性的当事者として振る舞うことはできない。

理性的当事者として振る舞うことができることは、実は合理的選択や決断を行う余地の広がりを意味しており、ひいては資本主義社会を生存する上での大きなアドバンテージであると言える。

心理的リアクタンス解決不能当事者

理性的当事者の項目にある前提から次のようなことが言える。

つまり、人類のなかには心理的リアクタンスを解決できない人物が一定数いるということである。

これは社会的な話題として認知されるべき事柄である。

そのような人たちは、自分の心理状態を必要に応じて理性的にコントロールすることが難しいため、組織や社会の単位で支援することが必要な場合も多い。

その際は、自由について、本人同意の下、明文化の上、明確に制限することが有力な解決法となる。

統治、組織、社会と心理的リアクタンス

施政者やマネージャー、監督者、保護者、教育者は、法律上で強制力を発揮したり人権を制限できない事象については、対象に「お願い」をすることがある。

そこで、心理的リアクタンス理論の周辺でもグラデーションのある反応が見られることになる。

直近であれば、COVID-19の感染対策とそのお願いにも心理的リアクタンス理論が適用できる。

つまり、対策を依頼すればするほどに、そうしない権利や自由を行使することで有能感を獲得したいと考える個体は必ず存在するということである。

お願いをする側や、そのお願いを守ることにした人が、そうした現象によって、心理的なストレスを感じないためには、心理的リアクタンスという概念を学ぶことで、客観視点を自分の内的世界に構築することが大切である。

続いて、自由の名の下においても、人間は理性や理論でコントロールできないという事実を認めることが大切である。

自由を制限できるのは、管理者として認められる人物や法律に基づくルールのみであるからそういうところに話を持っていって当事者間での話はしないに越したことはない。

心理的リアクタンスを取る人たちは、大人ではなく、未熟であるため、指摘を本質的に理解認知することはむずかしいからである。