押絵

厚紙を花鳥・人物などの形に切り抜き、綿をのせて美しい布で包み、物に貼り合わせた細工。羽子板などに使用する伝統的な手工芸。

制作の工程

押絵の制作手順は、その繊細な工芸技術を反映しており、非常に手間と時間を要するプロセスです。以下に、一般的な押絵の制作手順を紹介します。

1. デザインの準備　押絵を作る前に、まずはデザインを決めます。対象となるモチーフ（人物、動物、風景など）のスケッチを描き、色彩や構成を考えます。
2. 下地の準備　押絵には通常、布や和紙が使用されます。これらの素材を適切なサイズに切り、必要に応じて下塗りを行います。下地が乾いたら、スケッチしたデザインを転写します。
3. 着色　転写したデザインに基づいて、絵の具や墨で細かく着色していきます。この工程では、色の濃淡やグラデーションを丁寧に表現します。
4. 押し出し作業　着色が終わったら、押し出し作業に移ります。裏側から綿や和紙を使って、部分的に盛り上げます。この工程で立体感を出すため、どの部分をどの程度盛り上げるかは、作品の表現に大きく影響します。細かい部分は竹串などの細い道具を使って押し出します。この工程では、技術と感性が求められます。
5. 仕上げ　全ての押し出しが完了したら、仕上げの工程に入ります。これには、細部の修正や、表面の仕上げ、保護のためのコーティングなどが含まれます。　必要に応じて、押絵を額装したり、特定の用途に合わせた加工を行います。
6. 乾燥　最後に、作品を適切な場所で乾燥させます。乾燥時間は、使用した材料や気候条件によって異なります。

押絵の制作は、細かな作業と長時間を要するため、高い技術と根気が必要です。しかし、完成した作品は、その独特の立体感と温もりで、鑑賞者を魅了します。現代においても、伝統的な技法を守りながら、新しい表現を追求する作家がいます。

例

A2.3勝川春英のおし絵形 - 勝川派デジタル研究所

参照

江戸押絵（えどおしえ）の特徴 や歴史- KOGEI JAPAN（コウゲイジャパン）

押絵(おしえ)とは？ 意味や使い方 - コトバンク