血液
血液(けつえき、Blood)は、動物の体内を循環し、酸素、栄養素、ホルモン、老廃物などを運搬する液体組織である。血液は、血液細胞と血漿から構成され、循環器系を通じて全身に供給される。血液は、体温調節、免疫機能、酸塩基平衡の維持など、生命活動に不可欠な役割を果たしている。
概要
血液は、酸素、栄養素、ホルモン、老廃物などを運搬し、体温調節、免疫機能、酸塩基平衡の維持など、生命活動に不可欠な役割を果たす液体組織である。血液は、赤血球、白血球、血小板からなる血液細胞と、栄養素やホルモンを含む血漿から構成される。
心臓を中心とした循環器系を通じて全身を循環し、各組織に酸素や栄養素を供給するとともに、老廃物を排出する。貧血、白血病、血友病、血栓症などの血液関連疾患に対しては、適切な検査と治療が必要である。
血液の理解は、健康維持と疾患予防において重要な役割を果たす。
血液の構成成分
血液は、主に血液細胞と血漿から構成される。以下にそれぞれの成分を詳述する。
血液細胞
- 赤血球(エリトロサイト): 酸素を運搬する役割を持つ細胞。ヘモグロビンを含み、酸素と結びついて全身の組織に酸素を供給する。
- 白血球(ロイコサイト): 免疫機能を担う細胞。細菌やウイルスなどの異物を攻撃し、体を防御する役割を果たす。
- 血小板(トロンボサイト): 血液凝固に関与する細胞。血管が損傷した際に血液を凝固させ、出血を止める働きを持つ。
血漿
- 水: 血漿の約90%を占める主要成分。血液の流動性を保ち、各成分を運搬する媒体として機能する。
- タンパク質: アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンなどのタンパク質が含まれる。血液の浸透圧を維持し、免疫機能や血液凝固に関与する。
- 電解質: ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が含まれる。体液のバランスを保ち、神経や筋肉の機能を調整する。
- ホルモン: 内分泌腺から分泌されるホルモンが含まれ、体の各機能を調整する。
- 栄養素と老廃物: グルコース、アミノ酸、脂質などの栄養素と、代謝によって生じた老廃物が含まれる。
血液の機能
血液は多岐にわたる重要な機能を果たしている。以下に主な機能を示す。
酸素と栄養素の運搬
- 酸素運搬: 赤血球中のヘモグロビンが酸素を結びつけ、全身の組織に酸素を供給する。
- 栄養素運搬: 消化管で吸収された栄養素を各細胞に運搬し、エネルギー供給や細胞の維持を支える。
代謝産物と老廃物の排出
- 代謝産物の運搬: 細胞から生じた二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓に運び、排出を促す。
- 解毒作用: 肝臓を通じて有害物質を解毒し、体外に排出する。
免疫機能
- 異物の排除: 白血球が異物を認識し、攻撃・排除することで感染防御に寄与する。
- 抗体の生成: 体内に侵入した病原体に対して抗体を生成し、免疫応答を行う。
体温調節
- 熱の分配: 血液が体内を循環することで、体内の熱を均一に分配し、体温を一定に保つ。
酸塩基平衡の維持
- pH調整: 血液中の炭酸水素塩などの緩衝系が、体内のpHを適正に保つ。
血液の循環
血液は心臓を中心とした循環器系を通じて全身を循環する。以下に血液の循環経路を示す。
体循環
- 心臓から全身へ: 左心室から大動脈を通じて酸素豊富な血液が全身の組織に送られる。
- 全身から心臓へ: 酸素を消費した血液が静脈を通じて右心房に戻る。
肺循環
- 心臓から肺へ: 右心室から肺動脈を通じて二酸化炭素を含む血液が肺へ送られる。
- 肺から心臓へ: 肺で酸素を取り入れた血液が肺静脈を通じて左心房に戻る。
血液関連疾患
血液に関する疾患は多岐にわたる。以下に主な疾患を示す。
貧血
赤血球またはヘモグロビンの不足により、酸素運搬能力が低下する状態。
- 原因: 鉄欠乏、ビタミンB12欠乏、慢性疾患など。
白血病
白血球が異常増殖する血液のがん。
- 症状: 貧血、出血傾向、感染症の増加など。
血友病
血液凝固因子の欠乏により出血が止まりにくくなる遺伝性疾患。
- 治療: 凝固因子の補充療法。
血栓症
血液が異常に凝固し、血管内に血栓が形成される状態。
- 原因: 動脈硬化、肥満、長時間の座位など。
血液の検査
血液の状態を評価するための検査にはさまざまなものがある。以下に主な検査を示す。
完全血球計算(CBC)
血液中の赤血球、白血球、血小板の数を測定する検査。
- 目的: 貧血や感染症、出血傾向の評価。
血液化学検査
血液中の化学成分(グルコース、電解質、酵素など)を測定する検査。
- 目的: 肝臓や腎臓の機能評価、代謝異常の検出。
凝固検査
血液凝固に関与する因子の機能を評価する検査。
- 目的: 出血傾向や血栓症の評価。
研究
Ahed遺伝子
体内で重要な役割を果たす赤血球や白血球などの血液細胞を作るのに必須の遺伝子をマウスで発見したと25日、大阪大などのチームが発表した[1]
チームはさまざまな遺伝子を壊したマウスの胚性幹細胞(ES細胞)を200種類作成、それぞれ血液細胞になるように変化させた。その中で、ある特定の遺伝子を壊すと、血液細胞がほとんど作られないことを発見。この遺伝子をAhedと名付けた。
血液細胞のAhed遺伝子が壊れるようにすると、マウスの胎児は生まれる前に死に、赤血球や白血球はほとんど作られていなかった。大人のマウスでもAhed遺伝子を壊すと血液細胞の量が激減。胎児期から成長するまで、血液を作るのに重要な遺伝子だと分かった。
既存のデータベースで調べたところ、急性白血病患者の約1割にAhed遺伝子の変異があったという。大阪大学など、血を作る遺伝子発見 白血病治療に期待 - 日本経済新聞