HOTCAKE
HOTCAKE(Holistic Occupational Therapeutic Cognition Aid Kit examples:全人的な作業療法的認知援助キットの例)とは、作業療法.netの中の人が臨床上得られたデータを元に構成した、対象者の認知を評価するためのツールキットのドラフトである。(執筆中)
実用的宗教、哲学、AIや統計処理を元に物理学的手法で科学への移行を目指したい。
理論の根本
HOTCAKEの目的、理論的前提、想定活用場面について述べる。
目的
人間の認知とは、「入力された情報に対してどのように出力するかという仕組み」を踏まえて、目の前の対象者の方はどの程度認知機能を日常生活の中でうまく活用して人生を楽しめているかどうかについて伺い知り、その人も考えたことがなかったような必要な支援について、専門職としての目線で気づき、臨床の現場で提言ができるようになることである。
理論の大前提
人間は情報を受け取り、それが域値を越えれば情報が処理される。域値を超えなかったり、内部の処理がうまくいなない時に障害として認知される。
ある情報をどう受け取り、どう出力するかということがその人の認知を評価することにつながると考える。
想定活用場面
認知症対象者へのケア時・関わり時
まず、認知症の対象者へのケアは、現実的な状況に理想を落とし込むことが格段に上手にできるようになる。
対象者の混乱を強めるような無駄なアプローチが激減し、対象者の安心につながる関わりが簡単に選択できるようになる。
またそのような混乱を強める関わりを行うようなスタッフに対しても、現実的かつ適切な関わりが行えるようになる。
精神疾患のある方との関わり
精神疾患のある方の多くは、認知機能にも難しさを抱えている場合が少なくない。
いろいろな問題を関連させたり切り分けたりして、対象者の人生にとって効果的な介入を行うことができるようになる可能性が格段に高くなる。
高次脳機能障害のある方への関わり
高次脳機能障害を認知機能の側面から、評価できるようになると、当事者の方の周囲の人に、本人はどんなことができてどんなことができないのか、周囲の人間としてはどのようなときに困るがそういう時にはどうしたらいいのか、についてうまく伝えることができるようになる。
発達障害のある方への関わり
能力に偏りがある場合には発達障害を持つ方々は非常に誤解を受けやすい。そのような方々への認知について適切に評価ができれば、生きやすさについて適切焦点化した関わりを行うことができる。
参考領域
情報の出入力の関係性については、情報科学の分野の知見がおおいに参考となる。また、哲学における現象学など人はどのように世界を感じ振る舞うのかという論理的考察も参考となる。それらをもとにリーズニングと推論を重ねるために、作業療法士が焦点をどのような表出に当てなければならないのかについて明らかにする。
論理
一般に、数学や自然科学の分野において、手順として実行すれば、だれがどうやってもそうなるという現象について、具象をそのまま操作するのではなく、情報として抽象化して処理を実行するための戦術を論理という。
またその論理を、ある目的に応じて集約しその目的が達成できるように体系化したものが理論である。
論理をうまく扱えることは、短時間のうちに正しい見通しを的確に見立てることに非常に役に立つ。つまり、非常に経済的である。
だから勉強は大切なのであるが、そのことは学校教育があまりうまく機能していないので、理解できないまま大人になっていく人も多い。しかし、後述するように人から教えて貰わなくても気付ける人もいるので人それぞれとして、どう協力市会えるかということを考えるほうが、世の中はよくなる。
つまり、論理を使いこなせるかどうかについては個人差があり、この論理を扱う能力がどのようであるかということが、人の人生の生き方を大きく左右すると言っても過言ではない。
人間は一人一人価値観や大切にしたいものや、それらに基づく考え方も異なるが、無意識的にそれらに影響を与え続けるのがその人が論理をどの程度日常的にうまく扱うことができているかという事にある。
大局観
見当識にあたる。メタ認知。外側からの視点を内的にイメージとして作成して、把握する能力。
または、現状にマッチする尺度や視点を用いて、環境の中に自分自身を位置づけ把握する能力である。
現代社会においては、自分がどのようなポジションを占めているのかについて把握することは極めて重要である。
ビジネスにおけるフレームワークはこれにあたる。
想起
すでに過去に体験したことや所有している情報を、積極的に活用できることが自分の人生を自分の思う方向に導く上で非常に重要である。
いわゆる記憶力。
特にエピソードから意味性を抽出できたり、単語から箇条で項目を想起できる能力が重要である。
比較
想起した情報が、現在の情報と比較して同じか違うかなどについて判断をする。
同じであるなら、想起した情報をそのまま活用して問題解決することが可能となる。
比較の能力は経済性を保証する重要な能力である。
認知の分類
作業療法の場面で、対象者にとって必要な支援の量や質を見極めるために必要な評価として、対象者をカテゴライズする。
自己マネジメントに関する認知
自分で自分の人生を自分の満足する方法に導くために必要な能力としての認知である。
他者のマネジメントも十分に行える状態
自己のマネジメントを余裕を持って行うことができる結果として、その余った余力で他者や組織のマネジメントも十分におこなうことができる状態。
リーダーや指導者、教育者、保護者としての十分な素質がある状態。
自分で情報を作りその情報に自分を従わせることができる
朝早く起きると決めたら、ストレスなく、あるいは低いストレスで自分にそれを実行させることができる能力があるかどうかである。
自分の行動を自分で振り返り、そこから自分はどうするべきかについて気がついて、行動をすぐに起こすことができる。
自己決定を即座に自分の行動に反映させることができるレベルの認知機能があれば、リハビリテーションは非常に円滑に行うことができ、最も成果が期待できる。
また成果が十分でなかった場合においても、代替手段についての前向きかつスピーディな検討が可能である。
十分な支援を行うことで、さまざまなツールや制度を十分に活用して、いくことで、日常生活上の役割や復学や就労に関する期待も高い。
他者からの指摘を理解し、受け入れながら行動変容することができる
自分自身で自分についての気づきを安定して行うことは難しいかもしれないが、理解できる言葉がピタリとハマれば行動変容も可能である。
また、自分が受け入れがたいものについては受け入れないなどの自己決定ができる。
自分にとって必要なものとそうでないものは自分自身で見極めることができる。
他者からの指摘を理解しづらい、取捨選択することができない
まずい状況は理解できるし、その時その瞬間に自分自身の行動に問題の原因があったことは理解ができる。
その一方で、相手の指摘の一部分しか理解できなかったり、時間の経過とともに他者から受けた指摘を忘れてしまったりする。
なんでも自分が悪いという思考に陥り、自罰的となり、自信を消失したり、本当は自分自身に特に問題がないような事柄についても、自分に問題があったのではないかと考えてしまうようになる可能性がある。
時に外部からの支援が必要であったり、自分自身にあった環境を積極的に模索することが必要である。
自分の適正を見極めて、自分にあった環境というものはどのようなものであるかということを考えて、行動していくことが大切なパターン。
言語を操って思考したり、現実に沿って考えることができない、中長期的視点に立った論理的思考を操ることができない
外部からの支援が必要な状態。
自分自身のみで生活の立て直しを図ることは不可能で、現在の生活週間が長期的な問題につながっていく可能性が極めて高い状態。
自分に都合のよい尺度でしか物事見ることができず、自分と異なる意見の持ち主の意見を理解することが困難である。
そのため、自分自身が苦手なことやできないことを認めて、ひとから助けてもらうことが重要である。
子供に対する無自覚の虐待や、他者からの支配を望んでしまうなどの、認知につながりやすい。
攻撃性反社会性が高い状態
最も緊急性が高い状態。
超短期的な認知思考に基づく行動しかとることができなくなっている状態で、周囲に及ぼしうる影響が甚大な状況となる。
社会や制度や組織のレベルで、支援や対処をおこなうことが必要となる状態で、長期間での継続的支援が必要不可欠な認知状況である。
認知のスピード
思考の速さ。
言語を操るはやさ。
感じ取った情報に対して反応を返す速さなど。
速さは、日常生活のなかでいろいろなことをやろうとすると必要になる能力の一つである。
注意を適切にテンポ良く切り替えながら、さまざまなタスクを並行して行うことができる能力など、様々な能力の底力につながるのが認知のスピードである。
計算問題を淡々と解いたり、同じ課題を繰り返すことには、このようなスピードによる情報処理の負荷に脳がどの程度適正を持っているかということを確認する方法にはなる。ただ、練習したからといって適正が上がるというエビデンスはない。
生まれ持ったものであるというエビデンスもないが、普段からの思考パターンやライフスタイルは少なからず影響を与えそうである。
なぜ必要としたか
認知機能のレベルに応じた情報の入力が回復の要点であるというコンセプトを具体化するためである。
そして、既存の理論では、認知機能によって十分に分類がなされていないという側面があるからである。
厳密でアカデミックな理論は現場で活用しにくく、習熟した人間が新人に伝達しにくいというデメリットがある。
また、作業療法の哲学に馴染みのない人たちにとって、既存の理論はわかりにくいものが多いかもしれない。
しかしながら、作業療法士は対象者のことをその認知のレベルに応じてしっかりと理解できることが必要である。
実際、作業療法士が作業療法対象者を援助時に十分な深さを伴って継続的かつ一貫した支援を行い、対象者の安心感につなげるためには、対象者の認知について十分に評価できる必要がある。厳密さよりも現場におけるコンサルテーションに必要なスピード感、テンポの良さ、顧客満足に焦点を当てた理論とツールである。
理論の限界とリスク
あくまで傾向であり、しかも、その情報処理が行われたときに対象者にどのような情報が入力されていたかについての評価には、作業療法士自身の認知が対象者のそれを上回っている必要がある。
作業療法士の認知が、一定水準を満たさない場合、この評価方法は使えない。
また、HOTCAKEで見れるのは対象者の認知の傾向であって、常にそうであるということではない。常にそうであるというのはレッテルや色眼鏡と言われるもので、対象者の全人生を大きく毀損するものであり、到底承服できない。
つまり、あくまで介入や振り返りの参考として、タイムリーに用いたあとは、過去のHOTCAKEの情報を絶対視しない態度が必要である。