ワーキングメモリ
ワーキングメモリとは、認知機能の中核をなす、脳の中で情報を処理する時の最も基本となる機能。
ワーキングメモリが大きければよりたくさんの情報を一度に処理することができる。
ワーキングメモリを訓練により鍛えることができるかどうかは、リハビリテーションの大きな話題の一つである。
ワーキングメモリの基本概念
ワーキングメモリは、脳の前頭前野にその機能の領域があるとされている。
ワーキングメモリは、情報を載せるまな板や作業台に例えられる。
ワーキングメモリに載せることができる情報の量や質が多ければ、短時間に色々な情報を皮革検討したり処理したりすることができるようになる。
パソコンでいうところのCPUとメモリを合体したような役割にあたる。
ワーキングメモリの個人差
ワーキングメモリの大きさは個人差があることが知られている。
つまり個人個人によって一度に処理できるタスクの量もそのスピードも異なるということである。
ある人にとって有効であったメソッド、方法論が他の人にも当てはまるは限らない一つの因子となりうる。
そのため、ワーキングメモリの評価は適切な方法論を選択するために極めて重要である。
ワーキングメモリの改善
運動による改善
運動能力・技能と認知機能の優秀さには相関があると言われてきたが、それを実際に脳の働きとして捉えどうやら事実であると報告[1]がされた。
また、この研究の中では、 「有酸素性の持久力と手指の巧緻性を高めるような運動は、認知機能に有効に働く可能性があることが示唆された。認知機能の維持・増進に向けた、効果的な運動処方の構築等にも貢献が期待される成果だといえる。」
という[2]。
作業療法においても、トレーニングとして各種作業を用いる場合、有酸素性の持久力・手指の巧緻性を高めるような運動の要素を柔軟に取り入れることで認知機能のトレーニングにつなげることができる可能性が示唆されている[1]。
代償による改善
すでに所有している知識や経験を運用することで、ワーキングメモリの使用を抑えることが出来ることが知られている。
つまり練習を重ねて既知の内容を増やし自動化することが出来れば、ワーキングメモリの総量は変わらなくても、タスクの生産性や成果の質を高めることに繋がる。
反復して、すでに持っている知識や、情報を使うコストを徹底的に下げることが重要であるということである。
ワーキングメモリの測定
N-back課題
ワーキングメモリの障害
ワーキングメモリが障害されると、日常生活において様々な支障が生じるとされる。
特に有名なのが、短期記憶がうまくできなくなるということである。
そうすると、中長期的な記憶もうまく形成されないので、記憶を利用して生活を有利にすることが困難となり各種の代償を必要とするようになる。
ワーキングメモリの障害と関連する疾患には以下のようなものがある
認知症
例えば、アルツハイマー型認知症の場合は、脳が全体的かつ広範囲にダメージを受ける。
当然ワーキングメモリを司る場所についても、その機能が障害される。
これは、ただでさえ記憶をすることが困難になっていくのに、さらに記憶をうまく扱うことが困難になるという悪循環を生じさせることになり、認知症を抱える人の生活のし辛さを非常に大きなものにしていく。