がん
がん、とは悪性腫瘍と同義語であり、癌とは別の集合である。(包含関係は、癌∈がん)
がん、悪性腫瘍とは、腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののこと[1]
概要
がん、とは一言でいえば細胞分裂が異常な細胞が体内に存在することでさまざまな弊害が引き起こされる現象である。
より詳細には、がん細胞となった細胞では、細胞分裂が制御できなくなり、体の恒常性や生存に必要な機能を脅かしたり、異常な疼痛を発生する。
また、多くの場合は[[自然治癒]が困難である疾患で、放置・進行すると全身に広がることで死亡リスクを急激に高める。そのため、投薬や外科的治療によって現状変更を試みることが、生命を永らえさせるためには必要な選択肢となることが多いい。
ただし、年齢によっては進行は緩やかとある場合もある。その場合には、発見後も生活上ほぼ深刻な影響が生じない状態で人生の終わりまで過ごすことが出来る可能性があり、積極的な外科的介入が行われず、投薬治療が選択されたり、そもそも何もしないこともあり得る。
作業療法とがん
ひとことに「がん」と言っても、どのような細胞由来なのか、罹患発症の年齢など、さまざまな要因によって病態は個々にことなる疾患であるという点も、作業療法的には重要な側面であると言える。
「がん」がその人の人生に与える衝撃は計り知れない一方で、死というものに向き合う中でより人生を明るく輝かせるきっかけともなりえる。
まさに、当事者その人にとって、その「がん」がどのようなものとなるのか、またなっていくのか、個々人の向き合い方がそれぞれ異なることを念頭において、当事者の方のとらえ方をわかろうとすることを作業療法士は大切にしなければならない。
信頼できる情報元
胡散臭い情報源が多いが、それは弱者はめ込みビジネスの対象にしやすいからに他ならない。
(余談であるが、「がん」当事者や家族の不安を強くする病気なので、その不安に付け込んで、合法的だが倫理的にかなり問題のある方法で金銭を巻き上げる手法が、ある程度確立されている。特に、インターネット上の情報は、いい情報も悪い情報もごちゃまぜで、「末期がんを治療した、一般には知られていない最新の治療法」が掲載されていることもあるが、そのようなものの信頼性を証明する論文が存在しない限り、信頼度は「明日地球が滅ぶかもしれない」と同程度であるということを強く認識しておくべきであろう。)
また、信頼に足る情報元を、「がん」になる前、つまり冷静に物事が判断できるときにある程度しっておくこと、勉強しておくことは大変有意義であるし、実際病気になったあとでも、信頼に足る情報元のみから情報を得るべきである。
たとえば、下記のような情報元がある。
ガイドブック
書籍として出版されているが、インターネット上で読むことができる日本医師会の本
同じく出版されているのに読める薬物療法ガイドライン
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)-特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン統括委員会
マニュアル
JA広島総合病院作成
JA広島総合病院 緩和ケアマニュアル OPTIM等をもとにして作られている。
緩和ケアマニュアル第 3 版-独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター
緩和ケアチーム 活動の手引-特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
当事者の方、ご家族の方向けの資料
緩和ケア普及のための地域プロジェクト: OPTIM 製作の資料
分類
「がん」という言葉のなかには、癌腫や肉腫、血液がんが含まれる。
また、医学的には、ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示し、漢字の「癌」は上皮細胞から発生する癌腫として使われる。[1]
ライフステージとがん
年齢、とくにライフステージによって、どのようにがんとむきあうかということは、大きく異なる可能性がある。
比較的若い人(AYA世代などと呼称される)にとっては、がんという病気は深刻な結果をもたらす可能性が高いイメージがある。そのため、情報をSNS等で収集することも選択肢となるが、インターネット上には不安に付け込んでお金を合法的だが倫理的に難のある手法で巻き上げるための手法が多数存在する。そのため、正しい情報を収集できるように準備をしておくことが大切となる。
AYA世代でがんと診断された人に向けて、困ったときや悩んだときのために、知っておくと役に立つと思われる情報-国立がん研究センター がん情報サービス
逆に、超高齢者(90代以上など)の場合には、がんが発覚しても積極的に治療を選択しないこともある。
このように、がんという疾患は、個別性が高い疾患で、経過も一般化することはむずかしい。
確かなのは、誰かに効果的な治療が、同じがんの患者に効く保証ができるような治療というのは、現時点では存在しないということである。積極的治療のための薬剤や治療法には副反応がつきもので、それらについても、事前に納得や理解が必要であるし、治療を開始した後の精神的な動揺へのサポートも非常に重要となる。
自分がどのような疾患になったのかということを当事者が理解し、本人が自分の意思で自分の今後の経過を選択していける一助となれるよう作業療法士は、関わる必要がある。
AYA世代
AYA世代というワードは、Adolescent and Young Adult(思春期や若年成人)の頭文字で、がんの医療の領域などで用いられている。
AYA世代のがんには下記のような困難さがあり、本人と家族にとって強いストレスを与える。
がん診療の専門家も限られており、最適かつ効果の高い治療法が十分に確立していない。[2]
成長・発達段階で発症するがんで、身体的な影響のみならず、社会的な影響が大きいこと
働き始めの場合で、未保険加入の場合には経済的に困窮する可能性があること