行動経済学

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理性と情動の間で真実を見つけようとする行為である。人間を理性・合理的な存在と規定して積み上げた古典経済学が現実の資本主義社会をうまく表現できずアカデミックの限界を露呈しそうまたはほぼ露呈しかけた、必要とされた学問である。

要するに現実をみましょうという学問であり、知っておくことは非常に好ましい。

というか、これからの時代を生きていく人間の理解にとても必要な基礎的な知識と言える。マネジメント問題解決などの概念などと併用して用いるのがよい。

行動経済学が内包する理論

人間の非合理的な側面も包括した理論や、直感に反する心理などが含まれており、自己の認知を柔軟にする目的で学ぶと役に立つ。単純な資本主義やその合理性とは異なる人間の認知などがよく言語化されている。あるあるネタとして知っておくと話のネタにもなる。

プロスペクト理論

人間は合理的な判断をするようで、意外と、というかほとんどの場合うまく判断をできない, という人間のありのままを認める理論。

現実の人間と、その集団としての社会と向き合う上で、極めて重要。

人間の平均的非合理性を学ぶことで、自分自身の不可解かつ非合理的な判断を諫める機会となるだけでなく、認知症の方や知的障害の方の行動を当事者にとってストレスの低い形で支援するための、方策のヒントとなりえる。

「確実性効果」「損失回避」「参照点」の概念がとても大切。

プライミング効果

先入観のこと。

事前に与えられた情報によって、同じ事象や話を聞いても、評価する文脈が変わってしまい、解釈が変化する。

後述する、参照点依存性にも影響を与える。

プラセボ効果

より踏み込んで、思い込みでなぜか実際に効果が出てしまう効果。

なんのことだかよくわからないが、事実である。

その為、本当に効果があるのかを確かめる時には、統計学的処理をおこなって事象を確かめることが重要になる。

ハロー効果

後光効果とも。

東大王という番組が成り立つのは、東大生は全員賢いという先入観があり、それに見合うパフォーマンスを出演者の東大生がするからである。

普通に同程度賢くても番組は成立しない。

人間は楽したいので、演繹的に考え、帰納的に自分で確かめるのは苦手という解釈もできる。

物事の本質を見抜き、ちゃんとした価値づけができるためには、知っておく必要がある。

ハーディング効果

行列のできるラーメン屋に並びたくなる心理。冷静に考えれば、時間をかけて並ぶよりも、人が少ない時間帯を狙う方がコストパフォーマンスは高い。はずなのに並ぶ理由の一つ。

多くの人が同じ行動をとっていると、自分も釣られて同じ行動を取ってしまう。

思考停止状態につながる極めてリスクの高い効果。詐欺師などがよく使う。

また、赤信号みんなで渡れば怖くない、などのように集団で破滅に突き進む結末の要素ともなり得る。

同調行動

みんなが間違った選択肢を選ぶと、自分の感覚や判断基準に自信が持てず判断が不確かになり、みんなと同じ間違った選択肢を選んでしまう行動のこと。

上記により踏み込んだ実験で証明されているが、本質的にはハーディング効果と同じと考えて差し支えない。

やっぱり詐欺師がよく使う。

フレーミング効果

本質的に同じ情報が、言い方一つで魅力的に聞こえたりする効果。

税込より税抜きの価格の方が安く見えるなど、人間の認知が目先の情報や一見わかりやすい情報に左右されるということ。

「タウリン1000mg配合」「タウリン0.000001t配合」どっちが多い?

「2割の確率で死亡」「8割の生存率」どっちが生きてられそう?

これまた、通販と詐欺師とスーパーと広告代理店がよく使う

参照点依存性

満足感に非常に深く関わる要素であり、極めて重要。

端的には、比べる対象によって、目の前の事物の評価が変わりうるということである。

よく例に出されるのは、水が半分入ったコップである。

からの状態と比べれば、「半分も」みずが入っており、満タンの状態と比べれば「半分しか」はいっていない、となる。

重要なことは、つまり、人生のどん底を本当の意味で知っていてそこを基準にできる人は、自分なりになんでも満足することができるし、その過程も楽しめる可能性が高まる。

一方で、完璧を求めすぎると、結果に左右されて過程や途中経過の状態に満足できなかったり、多くの結果には満足できない欲求不満の状態が続くことになる。

辛い思いをしたことがあるほうが、実は人生は生き良い。という人の一側面。

上昇選好

トータルが変わらないのなら、平均を一定で渡すよりも、平均を下回る量から供給して最終的に平均を上回る量を供給するほうが、貰い手の満足度やモチベーションは高まるという効果。

ある程度の期間な関係性が維持され、かつ、数的な変化がモチベーション等を左右する場合には、有効な手段である。

最初の供給が少ないことによって、顧客離れを引き起こすような流動性が高い場合には、この方法論は失敗の可能性がある。

根本的な要素は、参照点依存性とより良い変化への期待感である。

目的勾配仮説

「まけないで、もう少し、ゴールは近づいている」

という歌詞に励まされる心理。

あともう少しで終わるなら頑張ろう、と人を駆り立てる力のこと。

初期状態に比べると、有利であるという認知が働いているとも、上記の参照点依存性によるものとも言える。

これを用いるためにはナラティブ、物語性をうまく修飾する能力が必要である。

双曲割引

ほぼ上記と同じ心理が背景にある。

10年後に1万円もらえるより、明日一万円もらえる方が価値を感じる心理。

期間収益では同じ利益でも時間的に今に近い方が価値があるように感じてしまう。

保有効果

「大事なものだから捨てらねえ」

というゴミ屋敷の主が陥る心理。

もっているという認識が、価値を産み、なおの事手放しがたくなる人間の一種の愛着行動。当然金銭的価値などは関係ない。

金融商品の損切りを失敗する要因の一つ。

サンク・コスト効果

2020東京オリンピックのこと。

ここまで、これだけのコストを払ってきてるんだから途中でやめるわけにはいかない。

という心理。

金融商品含めて、人生の諸々の損切りを人間にさせなくする心理。

破滅につながるとてもリスキーな効果

錯誤相関

関係ないことに関係があると思い込むこと。訂正が極めて困難など病的な場合は妄想と表現される。

逆に、周りがどれだけ反対しても、きちんと関係性が閉めせればそれはとても価値があることであるので、過度に錯誤相関を恐るのも無意味である。

関係あるかどうかは、統計学的に検証すれば証明できるので、統計学大事。

加えて、論理的思考と検証能力がとても大事。

行動経済学の基本的要素

ヒューリスティック

行動経済学にとってとても大事な要素である。

要するに、その場のノリ。

感情論。厳密性やそれらに基づく論理を放棄して、好みや直感、過去のざっくりとした体験などをもとに、判断をすること。

これをないことにすると、ありとあらゆる計画がうまくいかない。

一方で、これらをうまく織り込むと組織が摩擦なく運用できるようになり、消耗やロスが減少した結果、それらの蓄積が大きな成果へとつながることになり得る。

馬鹿にするのではなくうまく取り込んだり、織り込んだりする視点が中長期的にはうまくいく。

ヒューリスティックには、メリット・デメリットがある。

意思決定に必要なコストが低下する

一生懸命頭を捻って考えると頭がつかれるけれども、えいやと勢いで短時間で決定すると、楽に決めることができる。

これは、短期的にはメリットが大きい。

一方で、中長期的には回復不可能な損失が発生する可能性もある。

先入観に影響されやすくなる

頭を捻って考えない以上、自分が既に所有している固有観念に影響されうる。

たとえ、その固定観念が事実に反していても、非合理的な社会的観念であったとしても、それらに影響される言動を出力し続けることになるため、中長期的には回復不可能な損失が発生する可能性が極めて高い。

ただし、集団のなかで共通の価値観を共有することには役立つ。

人付き合いの分析ツールとしての行動経済学

行動経済学は人付き合い、対人関係を分析する手段として使われることもある。

「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代の中では以下のように分類の手段として用いる。

まず、人付き合いのタイプを「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の3つに分ける。これは、人間の人付き合いは、折り合いをつけバランスをとる以上、ギブアンドテイクになるという過程のもとで、人の行動パターンを以下のように分類したものである。

ギバー(Giver: 与える人) 受け取ることを期待しないため、結果的に与えることをが多くなる傾向にあるひと。

テイカー(Taker: 受け取る人) 与えるよりも多く受け取ることを期待する人。欲深いなどと表現されることもあるひと。

マッチャー(Matcher: バランスを取る人) 意図してギブとテイクのバランスをとる人。

これらの概念と収入の関係性についても、分析がされている。

どのような人が組織の中で影響力や、関係性を行使するかを知ることができる、それらを知っておくことは、作業療法士自身の処し方にとどまらず、就労支援や、家族支援における支援において非常に役に立ち、マネジメント層の能力の有無を測る尺度として非常に有用である。

なお、困っている人にはギバーが多いとされる。同時に、最も突き抜けて優秀な人にもギバーが多いとされる。[1]

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