やらないでバカにする心理

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作業導入の上で大きな抵抗となりうるのは、対象者本人の心理的、あるいは文化的な抵抗感である。

これはその人らしさの大きな基盤となる一方で、リハビリテーションの大きな課題ともなりうる要素である。

特に価値観の変動に脆弱であったり、自分自身という人間の能力や人格に十分な自信が備わっていない場合に起こりうる。

そのような当事者の方は、十分に余力のある人はこのような心理状況に陥ることはなく、またそのことそのものについての自覚を持つことも難しい場合が多い。

まずは、自分の人生を自分で豊かにするためには、自分の感覚を信じること、とりあえずやってみること、そこから得られた体験や経験に基づいて自分自身にとってより良い価値観を新たに構築してくことが必要であるということを認識してもらうことが極めて重要である。

治療者として作業療法士が認識しておくべきことは、対象者がやらないでバカにする心理は防御反応の一つであるということである。

対象者が何から自分自身を守ろうとしてるのかということが明らかになれば、対象者のリハビリテーションや生活の幅を広げることが容易になる。

また、作業療法士本人のなかにこのような心理が働いているとしたら、それは作業療法士として職務を遂行する上で非常に致命的である。

作業療法士には、スキルとして、先入観なく、現実をありのままに捉え、新規性を模索し続ける力が必要とされ、そのスキルの最大の障害となりうるからである。

一例

固定観念が多いに影響しているといえる。たとえば、典型的に以下のようなアクティビティが「やらないでバカにする心理」に影響を受ける。

塗り絵 … 子供っぽい 

台所 … おんなの仕事 

YouTube … どうせやっても食べられない

リハビリテーション … 完全に元どおりにならないのなら、何をやって無駄

心がわりによるメリット

人生においてなんらかの変化が必要な状況下においては、「やらないでバカにする心理」が改善されることには非常に大きな意義がある。

人生の幅が格段に広がる。やらないでバカにすることによって経済的合理性があることもある。自分の人生のステージから不必要な変化を排除することができるからである。

一方で、自分の人生に変化が必要な状況下において、この心理は極めて致命的である。