スタグフレーション

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ありていに言えば、「紙幣が紙くずに近づく」予兆、その一歩手前。

概要

スタグフレーションとは、高インフレと経済成長の停滞、高失業率、高金利が同時に発生する状態をいう。(インフレについては、インフレーションの記事を参照のこと)

物価と失業率がともに上昇し、経済成長率が低下することが特徴である。

1970年代に米国を中心とした多くの先進国で高インフレと経済停滞が発生したことから、この言葉が使われるようになった。

原因

スタグフレーションの原因は、石油などの物価の上昇、政府支出の増加、通貨供給量の減少など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていることが一般的である。

要するに、国内と国外の経済的平衡が大きく毀損している状態で、スタグフレーションの起こる国の国民全体の生産性と比べて、生活水準が国際社会平均からみて不適当に高い場合などに起こる。

逆に国際社会からみて、高い生産性を発揮していたり、そのような高付加価値製品を輸出しつづけることができる限りにおいて、平衡が機能するためスタグフレーションにはなり得ない。

本来であれば通貨安を強みとして、自国製品やサービスを国外輸出することができる環境にあるにもかかわらず、買い手にとって魅力的な製品やサービスを国外に大量に提供できないとき、貿易赤字は拡大し、やがて為替の均衡のバランスが崩壊し、ついにはスタグフレーションとなる可能性が高まる。

専門家の多くは、特にエネルギー価格の高止まりを懸念材料として指摘している。スタグフレーション とは何か?…その原因からインフレとの違いまで徹底解説 | Business Insider Japan

歴史上のスタグフレーションの例

スタグフレーションの代表的な例として、1970年代、特に米国で発生したものが挙げられる。1970年代のスタグフレーションの原因は、アメリカは国際競争が激化するなか製造業における雇用の減少やベトナム戦争への多大な支出などが重なり、そこへ、1973年のOPECによる石油禁輸措置に伴う石油価格の上昇、政府支出の増加、通貨供給量の減少などの複合的な要因であった。(ニクソンショック)これらの要因から、高インフレと経済停滞が起こり、失業率や金利も上昇した。

もう一つのスタグフレーションの例は、1970年代の英国で、ジェームズ・キャラハン首相時代に起きた。(英国IMF危機)米国と同様、石油価格の上昇、政府支出の増加、通貨供給量の減少など、さまざまな要因が絡み合って発生した。英国の経験は、問題の先送りを続けていれば、先進国であっても危機は起こり得ることを示している。[1]

また、1970年代後半から1980年代前半にかけての日本では、原油価格の上昇、政府支出の増加、通貨供給量の減少などの要因が重なり、スタグフレーションが発生した。(第一次オイルショック)

なお、スタグフレーションは、1970年代以降、先進国ではあまり見られなくなった。各国の中央銀行は、今日までは過度なインフレの抑制と成長のバランスを制御する金融政策に成功した、といえる。

参照