生産性
牧歌的な、医療、介護、福祉の提供が終了し、顧客が安定して実りのあるサービスを享受し続けるためには、事業者側、特に、プレイヤーズ側の生産性の観点が必要不可欠である。
つまり、作業療法士であれば、作業療法周りの業務の生産性について、言語化してみる必要性がある。
他の医療、介護、福祉の職種についても同様である。
生産性の定義
「業務成果」÷ 「業務コスト」
なぜ重要か
極めて単純な話で、どれだけ素晴らしい結果を残しても、業務コストが極めて大であるとき、そのサービスは継続性が皆無であるから。
顧客にとって、継続性のないサービスは、生活継続性の観点からは、全くの無価値である。
医療、介護、福祉は、サービスを継続できるコトが、生活の安定や、安心、波及効果に大きな影響をもたらす。
つまり言うまでもなく、第一に継続性が重要で、その継続性を担保するのが、「生産性」だから。
例外
福祉事業や、パイロット事業等で、潤沢に公金等を使える場合は、成果第一で生産性は2の次になるコトがある。
もっとも、こうして作られる事業は汎化しないので、広く市民生活には行き届かず、享受できるのは運のいい限られた人物だけになる不公平を排除できない。
社会一般に「良い取り組み」を汎化させるには、「生産性」が必ず避けて通れない、と考えておく方が、長期的顧客利益の形成のためには間違いない。
医療、介護、福祉領域の生産性
先述のように、人のため、の職場であっても、必ず「生産性」を問われる。
スタッフが労働対価を受け取らない人員で構成されている職場においては、生産性が問われることはまずない。
しかし、日本が資本主義社会であり、労働力の徴用が、国家によってなされないのであれば、生産性が問われないというユートピアは、何らかの巨大な副収入の流れがあるか、別立ての資産を取り崩さない運営でもしない限り、まずあり得ないのである。
医療における生産性の例
「医療の提供を終了とするときの状態と医療を提供されなかった時の状態改善の差分」÷「投入した人、物資、場所、金銭的コスト」
介護における生産性
「介護サービスの提供があって初めて実現できる生活ないし機能改善と介護サービスなしの状態との差分」÷「介護サービスの総合的コスト」
※保健外サービスが不考慮のため、十分な式ではないが便宜上。
福祉における生産性
「そのサービスがあって初めて実現できる生活ないし自立度とサービスなし状態の差分」÷「福祉サービスの総合的コスト」
※ボランティア等での支援が不考慮のため、十分な式ではないが便宜上。
生産性把握の実践
コストの可視化が避けて通れない。
まず、プレイヤーとして、金銭を受け取っているとして、これと比較可能な形で、投下しているリソースの各情報を可視化する必要がある。
これができると、経営者側に必要な人的リソースの交渉が可能となるので、プレイヤー側としてもかなりのメリットがある。