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が挙げられている。<ref name="転倒予防対策の実際と成果">[https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/kenko_fukushi/000116383.pdf 入院患者における転倒・転落 予防対策の実際と成果.一般財団法人 永頼会 松山市民病院 転倒予防対策チーム.リハビリテーションセンター 副室長 平井 覚(理学療法士/看護師).厚生労働省四国厚生支局 2019年度 医療安全セミナー(サンポートホール高松)2019.11.19]</ref> | が挙げられている。<ref name="転倒予防対策の実際と成果">[https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/kenko_fukushi/000116383.pdf 入院患者における転倒・転落 予防対策の実際と成果.一般財団法人 永頼会 松山市民病院 転倒予防対策チーム.リハビリテーションセンター 副室長 平井 覚(理学療法士/看護師).厚生労働省四国厚生支局 2019年度 医療安全セミナー(サンポートホール高松)2019.11.19]</ref> | ||
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[https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika1996/10/3/10_3_141/_pdf/-char/ja 老人の姿勢及び転倒.藤田博暁] | |||
===在宅での転倒=== | ===在宅での転倒=== |
2024年6月15日 (土) 09:20時点における版
意図せずして体が不安定となり、バランスを崩すこと。
立位や椅子座位時においては、位置エネルギーが急激に運動エネルギーに変換され、それらの衝撃によって骨折や出血といった外傷の要因となる。
一方で、一言で、転倒といってもその要因は、多岐にわたる。本人や家族、時には介護職員の「これが原因だ」という直感に反することが原因となっていることも少なくない。そのため、身体から精神、環境まで総合的に見渡し、説明・調整い、リスクの逓減につなげることができる作業療法士が、やるべき仕事は非常に多い。一方で、転倒リスクが、作業や生活行為の文脈の中で、正確に評価判断できない作業療法士も少なくないので、作業療法士の力量を簡便に測ることができる話題の一つである。
概要
高齢化に伴って、転倒後寝たきりとなるなど、いかに転倒を予防するかは、少子高齢社会において社会的問題である。大腿骨頸部骨折などによって、容易に寝たきりになることが報告されて以降、施設などで対象者の行動制限の理由の大きな要因となっている。
非常に重要な問題である一方で、非常にありふれた問題でもあるため、いかに低コストに素早く、かつ正確で効果的な介入が行えるかどうかという点で、作業療法士の実力差が多分に現れてしまう話題でもある。
自宅生活においても、要介護状態が進行していくにつれて、転倒のリスクを軽減しながら、いかに移動の効用や経済性を維持向上していくかということが、リハビリテーションと在宅生活支援の大きな要素となる。
作業療法士が介入する場合には、機能改善のみがその介入の範疇とはならず、転倒リスクを軽減しながら、本人の生活目的を達成できるように助言や提言を行っていくことになる。
リスク管理
実際の転倒を予防するリスク管理と、転倒が起こってしまった後を想定してのリスク管理がある。
「作業を実現する」という、作業療法対象者の方の利益を最大化する視点において、双方大切である。
転倒予防
転倒を予防するためには、「どうなったら転倒するか」を説明できることが大切である
転倒対策 って何をすればいいのか?
重要な問い。評価が出来るかどうかを大きく左右する。
転倒後を想定した対策
救急救命を含めた、受傷時の対応をきちんと想定しての素早い動きの準備が必要である。
訴訟リスクの管理が必要である。本人やキーパーソンが同意納得していても、そのほかの人が介入してきたときに混乱しない為に法的な枠組みにのっとって、必要な同意書をきちんと作成しておくことはとても大切である。
そのようにして推し進めていかないと、その後の作業療法対象者様が本来受けることが可能であったはずのサービスが制限されたり、その後にその方が、再び作業療法へ取り組むことが可能になった際にも、今度は作業療法を提供できないという事態になりかねないので、法的な対策はしっかりととっておくべきである。
転倒の要因
転倒の要因としては、
身体機能低下 認知機能低下 実際に可能な能力と本人のできるつもりの乖離
が挙げられている。[1]
加齢
在宅での転倒
立位姿勢保持が不安定な在宅障害高齢者では、 身体機能の低下,とくに足把持力や足部可動性などの足部機能の低下 注意力の低下 が重要な要因として挙げられている。[2]
転倒の対策
どのような状況で転倒が頻回に起こっているのかを把握したうえでなければ対策を十分に行うことは難しい。[1]
転倒の分析については、下記の論文が参考になると思われる。
当院における転倒・転落患者の現状─ 291件のインシデント・アクシデントレポートから─.佐藤瑞騎 他.日農医誌 68巻 4 号 510~516頁 2019.11
つまり、抜本的対策のためには、統計学の知識と実践から逃れることはできないということであろう。
統計学的に考える転倒の発生
転倒の発生が統計的に確率分布がガウス分布になっているとすると、どれだけ気をつけても、無限に近いコストを支払うことでようやく転倒を低下させることができるに過ぎない可能性が否定できない。
ちなみに多くの出来事は、ガウス分布に従うといわれている。
そうした前提に基づいて、より現実的なレベルで、安全と制限のバランスを考える必要がある。
そしてそのためには、確実に転倒する方と、ほとんど転倒しない方を同等に扱うことにはQOLを真に考えるのであれば、慎重になる必要があることが示唆される。
今後の環境
少子高齢化に伴い、各施設で確保できる人間の数はますます減少していくと思われる。
転倒リスクの綿密な管理はこれまで以上に困難なものとなり、容易な転倒防止の選択肢として、行動制限が選択されることは想像に難くない。施設側のリスク管理を発生させないようにするためには、リスクが発生し得ない環境を構築することが最も簡単な方法だからである。
それは、少なくとも作業療法やリハビリテーションのあり方とは完全に逆行するものであり、そこでますます作業療法士がどのように働くかということが問われるようになっていくと思われる。
転倒と裁判
転倒が理由で裁判となり、熊本地裁の判決において、施設側が管理責任をとわれる形で敗訴している。
認知症のため投薬治療中の方が入院中の独歩にて転倒した。その際、男性はスタッフに声をかけておらず、見守りもいなかった。転倒が原因となって麻痺が出現し、寝たきりとなった方の家族が病院を訴えた。その訴えは認められ、損害賠償を支払うこととなった。小野寺優子裁判長は判決理由で、男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は予測できたと指摘。その上で、「速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と述べた。[3]
4点柵の使用
転倒防止の観点で、4点柵が使用されることは多々あるが、効果に疑問を呈するエビデンスが存在する。
ある急性期病棟においては、転倒防止において有意な効果が見られなかったという研究報告がある。[4]本研究の限界としては,観察期間が短く,転倒転落の発生も 十分でなかったため一般化することは難しい
参照
- ↑ 1.0 1.1 入院患者における転倒・転落 予防対策の実際と成果.一般財団法人 永頼会 松山市民病院 転倒予防対策チーム.リハビリテーションセンター 副室長 平井 覚(理学療法士/看護師).厚生労働省四国厚生支局 2019年度 医療安全セミナー(サンポートホール高松)2019.11.19
- ↑ 在宅障害高齢者の転倒に影響を及ぼす身体及び認知的要因.村田伸 他.理学療法 第32巻第2号 88~95頁 2005年
- ↑ https://www.chibanippo.co.jp/newspack/20181017/540092
- ↑ 急性期病棟における4点柵の不使用が転倒転落に与える影響.多根総合病院 看護部.多根医誌 第 9 巻 第 1 号,57 ~ 63,2020