「作業療法士になるには」の版間の差分
(→夜間学校) |
|||
113行目: | 113行目: | ||
各種精度の全ての法的根拠は、[[理学療法士及び作業療法士法]]にある。より正確な法律上の言葉についてはこちらを参照されたい。 | 各種精度の全ての法的根拠は、[[理学療法士及び作業療法士法]]にある。より正確な法律上の言葉についてはこちらを参照されたい。 | ||
作業療法士になるためには、この記事の上部にも書いているように、以下の2点が必要である。 | |||
1作業療法士を養成する学校を卒業すること | |||
2作業療法士の国家試験を受験し、合格すること | |||
なお作業療法士の国家資格の受験のためには、作業療法士養成校の卒業が前提条件となるので、ほぼ必ず作業療法士養成校の卒業が必要になる。 | |||
==作業療法士養成校== | ==作業療法士養成校== |
2020年10月1日 (木) 10:42時点における最新版
この記事では、日本で作業療法士になるための方法について書く。
概要
作業療法士になる方法を図にすると以下のようになる。
もしも、作業療法士を目指す場合には、是非とも、下記注意書きを参照のこと。
作業療法士養成課程の途中や、就職したあとでで気づいてやめる人が多いからである。とくにこれから、現場の作業療法士に求められる能力は今後ますます高まるので、事前によくよく検討することが必要である。
作業療法士になってみようかと思う人が増えることと、そうした人の検討材料となるような記事がこの記事である。
注意書き
作業療法士の仕事は、作業療法へのモチベーションが欠かせない
作業療法士には作業と作業療法へのモチベーションが欠かせない。
それは、作業療法士国家資格の取得が現場で必要な知識技術の獲得にとって必要十分条件でないからである。
つまり、教育の現場で与えられる情報だけでは、臨床で活躍する作業療法士になるためにはまったく不足するということである。
その不足を改善するためには、作業療法士が作業療法に対する熱意を持つことが欠かせないが、そのことが改めて説明されることもない。
よって、作業療法士国家試験に合格して、資格を取得したとしてもそのことを自覚できないまま仕事に従事する者も多い。
作業療法士国家資格は、その作業療法士が臨床上必要な最低限の実力を有することを証するものではない。あくまで、作業療法士国家試験をパスする程度の学力や知識が受験時にあることを意味するものに過ぎない。これは、決して作業療法士の資格が特別そうだというわけではなく、どの資格試験でもそのような特性を有している。
ただし、知識が即業務と実践に直結する業務ばかりならばそれで問題がないことも多いであろうが、作業療法士には就労後に多くの実践とその周辺のスキルが要求されるのである。このギャップに、新米の作業療法士の多くが非常に苦しんでいる。
前提として、作業療法士養成課程の教育では知識の詰め込みで、実践はほとんど行えない。多くの実践は、いざ臨床に出た時に行うことになる。これは、プライバシー配慮や現実的なコストの問題があるためである。仕方のないことである。
特に、私学の学校では、経営上の理由から国家試験の合格率が死活問題となるため、国家試験対策に焦点を当てた内容が主となりがちである。
またこれは、学力試験としてもデザインに一考の余地がある。作業療法士の業務範囲のすべてを勉強せずとも、資格試験をパスすることは可能である。
これは、卒後教育で学び続けることができるようなやる気のある人が作業療法士になりやすいという大きなメリットがある。
その一方で、資格取ったらそれで食べていきたいという人は、作業療法士として就職してから自分の見積もりのあまさを突きつけられるという事態に陥るというデメリットがある。
正直、作業療法士国家試験の資格試験のレベルは、作業療法士の質を担保するためのフィルターとしての機能が不十分であるという声もある。
作業療法士養成校を無事に卒業したとしても、それが作業療法士として現場や社会から要求される水準をクリアしていることの証明にはならないのである。
現場で働く作業療法士に要求される能力は、情報統合能力や、コミュニケーション能力、業務処理能力、学習能力など多岐にわたる。
これらの能力を卒後に身につけるには本人のモチベーションが欠かせない。
作業療法士の仕事は、主体性が無い人や決定ができない人には困難を極める仕事である。
そのためには、まず、作業療法士自身が自分のことを自分で決めたり、自分自身と向き合うことが必要である。
それが、できない人、また、その自信が無い人には苦痛を伴うかもしれない仕事である。
これは、作業療法士の資格は、あくまで対人支援の仕事をする上での手段であるということである。
つまり、業務内容に「こうするのがベター」というエビデンスがあっても(現状これが正解と思われるものはあるにしても)「これが絶対に正解」というものがないということであり、常に選択を迫られるということである。
作業療法士という資格は、人の生活や作業を支援したいという思いがある人にとっては、非常に有用なツールである。これほど素晴らしい資格はない。その人の[[人生を再建したり、再構築したり、エンパワメントできると評価計画立案介入実施ができるのであれば、どんなことでも作業として用いることができるという自由度の高い資格だからである。
作業療法士という仕事はこの面で類を見ない資格で、非常に素晴らしい仕事である。
作業療法士の仕事でできることは、非常に自由度が高い。しかし、逆に言えば、その手段としての作業療法士の資格を使いこなすだけの器量が作業療法士自身に求められるのである。
つまり、作業療法を行うためには、作業療法士自身が絶えず考え、問題解決に取り組み続ける必要がある。
定型化した答えの決まり切ったものばかりを相手にしていては務まらない、不確定性と意思決定との間で研鑽を要求され続ける、厳しくも面白い仕事である。
作業療法士国家試験に合格し、作業療法士の免許を取得したからと言って、自分自身がどのように業務を行うべきかが常に明らかとは限らない。というか、明らかでは無い場合が多いのである。
評価の理論や仕組みは作られているとはいえ、どのようなものを用いるかは結局作業療法士が適切に都度判断する必要があり、そこには説明責任がある。
資格を取得した後の方が学習コストの高い仕事
中学生、高校生の方および、あたらしいキャリアを求めている人へは特に述べておきたい。
作業療法士はAI社会の到来を控えて、相対的に作業療法士の仕事は将来性が高まっていることは確かに間違いない。
ようするにこれは、作業療法と作業療法士の仕事がシンプルに定型化することが難しい仕事であるということで、その困難が一生ついて回るということである。この構造は、自営業の職人や料理人の働き方のイメージに近く、顧客の求めに応じて一生研鑽を積み続ける必要がある。
資格があるから、定型化した業務でも稼げる、の構造を目指すのであれば、作業療法士は選択肢から外さなければならない。例えば、税理士や会計士など制度依存が生産性と社会貢献に直結する高い仕事を志向するべきである。それらの仕事も大変であることは間違いないが、作業療法士の仕事は資格で定型化することはできないことは間違いないので、定型化した業務で稼ぎたいなら作業療法士の仕事は向かない。
単に、資格であるから、手に職をつけるのが良いという意味で勧められて、作業療法士を目指すということ間違っている。
逆にいえば、結果を出せる作業療法士の市場競争力は非常に高い。こうした作業療法士の資格取得後の積み重ねによる差別化が、AI社会の到来によって、ますます強化されることになるので、大変なかわりにリターンが増していく。ただし、継続的な研鑽が必要不可欠な仕事であるため、資格を取得した後の方が学習コストは高い仕事であるということになる。
作業療法士になるためのコストパフォーマンスはよく計算しよう
生涯年収見込みと資格取得に必要なコストについては、しっかりと計算すべきである。
例えば、私学の学校を利用して作業療法士の資格を取得する場合には、一定水準以上の給与が得られる職場に就職が事実上限られると理解するべきである。さもなければ、奨学金の返済などにとても時間がかかることになる。
また、資格はどのような学校を経由して取得したとしても結局同じ資格であり、極力安く取得できることが望ましい。
奨学金を利用する場合には、投資金額を回収することを考えると、就職先の選択肢が限られることになる。
また病院における作業療法士の初任給は、サラリーマンの平均年収を下回ることが多い。
自営業や経営者を目指すのではなく、資格を用いて事業所に勤めることを考えるのであれば、一考するべきである。
逆に、収益性が高い仕事をするのであれば、作業療法士養成校の選択肢はかなり広くなる。純粋に教員の質で選ぶが良い。
作業療法士になるための具体的な方法
ここでは、国家資格としての作業療法士(OTR)となるための方法について書く。
大きくは作業療法士養成校で学び、その卒業資格の取得を経て、作業療法士国家試験を受験合格することによってOTRとなる。
各種精度の全ての法的根拠は、理学療法士及び作業療法士法にある。より正確な法律上の言葉についてはこちらを参照されたい。
作業療法士になるためには、この記事の上部にも書いているように、以下の2点が必要である。
1作業療法士を養成する学校を卒業すること
2作業療法士の国家試験を受験し、合格すること
なお作業療法士の国家資格の受験のためには、作業療法士養成校の卒業が前提条件となるので、ほぼ必ず作業療法士養成校の卒業が必要になる。
作業療法士養成校
大学か専門学校がその選択肢となる。
入学には入学試験の受験が必要な場合が多い。
ただし、学校によっては定員割れしているところもあるので、金銭面に問題がないのであれば、国家資格の受験資格を得る上で学力は大きな問題とならないかもしれない。
選ぶ
選択肢には、大学、短期大学、専門学校、夜間がある。
何に重点を置くかによって、どの選択肢がベストかは変化すると言える。
学費優先
コストパフォーマンスを考えると国立大学が良い。
国立大学で学費は変わらないので、特に、地方の物価と家賃相場の安い大学がコスパが良い。
その次に公立大学が選択肢になる。
私学であれば、学費が跳ね上がるため、就職先によっては、給与によるコスト回収に恐ろしく時間がかかることがある。特に奨学金を借りるなどしている場合には、より時間がかかることになる。
アカデミックキャリア優先
取れる資格は作業療法士の資格であることはかわらない。ただし、大学とそれ以外では学位の有無が異なる。学位は、教育者として活躍する上で役に立つ。また、アカデミックに研究や教育の道を視野に入れて頑張りたいと最初から思っている人の選択肢は大学一択である。
決めかねる場合には、下記の選択肢保留も参照のこと。
取得までの期間優先
短い期間で手早く資格を取得したい場合には、専門学校や短期大学が一番の選択肢になる。
受験までに必要な勉強などの時間も、短くてすむ傾向にあるので、金銭面に余裕のあるセカンドキャリア志向の社会人経験者の方にはお勧め。
また、既にどこかしらの大学を卒業している人は、一般教育課程を省略できる枠が存在する大学もある。
さらに、理学療法士の資格を取得している場合には、重複する単位の取得を省略することができるので、大学でも十分に短期間での資格取得が可能である。
選択肢保留
短期大学の場合には、卒業後に学位取得のためにもう一年間積めば学位取得ができるのがメリット。
専門学校の場合には4年制と3年制があり、4年制の場合には学位取得や、博士修士課程に進める選択肢を用意してくれているところもある。
夜間学校
夜に通うことができる学校が存在する。 かなり大変ではあるが、働きながら学校に通う選択肢も十分にあり得る。
あり得るが、勉強時間の確保を働きながら行うことは非常に負荷が高く、それゆえ、途中で退学する人が一定数いる。
安易に夜間の学校を利用ことを決めるのではなく、自分自身はそれだけの大変さをきちんと乗り越えられるのか自問自答をしておく必要がある。
養成課程
卒業要件には、理学療法士及び作業療法士法で定められた単位を取得することが必要である。
詳しくは、作業療法士養成課程を参照。
実習
作業療法士養成課程には実習が必要と定められている。
卒業資格取得・卒業
作業療法士養成課程における単位を取得することが、最低限の卒業要件となる。
学校によっては卒業要件に関して、卒業試験に合格することを科しているところもある。
つまり、卒業試験を合格しなければ、国家試験の受験資格を自動的に失うということである。
これは、学校が国家試験の合格率を維持するためという側面があり、私学に多い。
逆に、合格率が特に運営上関係のない国公立大学の場合には、卒業試験と国家試験の受験の可否は、可分である場合が多い。
国家試験受験
作業療法士の国家資格を得るためには、作業療法士国家試験の受験が必要である。
詳しくは、作業療法士国家試験を参照。
国家資格試験合格
国家試験が学力的に問題ない場合は、合格が通知される。
通知後、受験者は、免許発行の申請を行う。
申請のスピードにもよるが、概ね4月頭には仮の免許証が発行され、晴れて作業療法士として各種算定が行えるようになる。
就職活動
資格だけ取得してもほぼメリットがないので、多くの場合は資格が生かせるところに就職活動を行う。
新卒の作業療法士の就職活動は独特で、慣例として受験でいう専願のみが許され、併願は禁止である。
これは、日本の一般的な就職活動が沢山の企業を対象に同時並行で行われるのとは異なる。
詳しくは、作業療法士の就職活動をごらんください。