通所リハビリテーション
通称として、デイケアとも呼称される。
介護保険分野における通所リハビリテーションとは、その名に冠する通り、リハビリテーションの一環である。日中の居場所としての機能の類似するデイサービスと比較して、利用者の心身機能の維持回復成果がなければならないということである。[1]
最新資料
下のものが、ネット上で得られる最新資料である。(2021/04/01現在)
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する 基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
通所リハビリテーション社保審-介護給付費分科会第180回(R2.7.20)資料3
通所リハビリテーションの報酬・基準について(検討の方向性)社保審-介護給付費分科会第188回(R2.10.15)資料3
動画
50分と非常に長いが、ざっと概要を掴むには最適。
厚生労働省の定義
居宅要介護者について、介護老人保健施設、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション[1]
厚生労働省の定義の解釈
在宅生活をおくれているが介護が必要な人に対して、生活の自立という方向性に向けてリハビリテーションが行われていることが必須と言える。また、通所リハビリテーションで提供されるサービスは、リハビリテーションの文脈で構成されている必要があるということである。
もちろんリハビリテーション単体でサービスが成り立つものではないし、そのほかの要素が強い利用者もおられるが、そういった方は制度上のコンセプトとしては主たる対象ではなく、建前としては、他のサービスにうまく繋がれるように促していくことが必要ということになる。
通所介護との差別化
短時間のリハビリテーションが本来あるべき姿であることから、例えば時間区分を通所介護と通所リハビリテーションで分けるなど、特徴づけてはどうか、との意見があったという。[2]
アウトカム
重度者については、誇りを持って、尊厳ある生活を維持できているか
リハビリテーションの質についての評価指標として未病指標の活用
医師の関与するリハビリテーションを推進
生活行為向上リハビリテーション加算については、理念はよくても現場で使われておらず、仕組みに問題があると考えられることから、今後検討を進めるべきではないか
経営
収支差率が前年比マイナス2.6%と全サービス中で最もマイナス幅が大きい。コロナの影響もある中、経営的に大変厳しいという数字が出ている[2]
人員、施設、設備、運営の基準
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第44号)(抄)-厚生労働省
通所リハビリテーションを提供できる事業所主体
通所リハビリテーションの始め方については、新たに通所リハビリテーションの指定を受けようとする方に-厚生労働省を参照のこと
人員基準
制度としての人員の施設基準は以下の通りである。[1]
療法士(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士)利用者100人につき1名
従事者(上記の療法士を含む) 利用者10人に対して1名
設備基準
設備基準は以下の通りである。[1]
指定通所リハビリテーションを行うに必要な専用の部屋 3平方メートルに利用定員を乗じた 面積以上の設備
施設基準の人数上限は、実質建物の広さが最も強い決定要素となり得ると言える。
規模水準
通常規模型事業所 前年度の1月当たりの平均利用者延人員数が750人以内の事業所 大規模型事業所(I) 前年度の1月当たりの平均利用者延人員数が750人を超え900人以内の事業所 大規模型事業所(II) 前年度の1月当たりの平均利用者延人員数が900人を超える事業所
※介護予防通所リハビリテーション事業所は区分なし
通所通所リハビリテーションで受けられるサービス
介護予防通所リハビリテーション
介護予防通所リハビリテーションでは、生活機能を向上させるための「共通的サービス」に加え、「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」に関するサービスを組み合わせて受けることができる。[3]
利用のきっかけとなる疾患
通所リハビリテーションの利用のきっかけとなるのは、骨折、脳卒中がきっかけとなることが多い[1][2]
通所リハビリテーションの利用状況、利用期間、利用状況と今後の予定
サービスの利用状況をみると、要支援者では、週1~2回の利用が95%以上を占め、要介護者では、週 1~3回の利用が約90%を占めている。また、要介護者の利用時間は、6~7時間の利用が多い。[2]
通所リハビリテーション開始6ヶ月後の状況をみると、修了している利用者は約3%であり、修了予定のない利用者は、約80%。[2]
機能回復がプラトーになってからの利用が慢性化していると言え、通所リハビリテーションの機能改善、機能回復、生活行為向上面での存在意義が問われる内容となっている。
利用において介入のポイントとなる項目
リハビリテーション会議
ご本人様や家族、他職種が集まり、リハビリテーションについて検討する会議。
問題点と、それを解決するために行うリハビリテーションについて、そこに関わる人の間で情報共有を行ったり、意思決定を行ったりするためにとても重要な会議である。
介護保険制度上もとても重要視されており、各種加算における必要条件として挙げられている。
当事者の方のリハビリテーションの質を高めるために重要であり、また、低コストで効果的なリハビリテーション会議が行えるように、質を高めることは、経営課題にも直結するテーマであり、両側面から極めて重要である。
しかし、出席者を集める調整などの手間が非常にかかる事業所においては、敬遠されてしまうことがあることもまた事実である。
スタッフとしては、リハビリテーション会議についてよく理解しておき、また実戦ではどのようにすれば、コンスタントに質の高いリハビリテーション会議をストレスなく行うことができるかということは、極めて重要なテーマであると言える。
リハビリテーション会議参加者
利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス等の担当者その他の関係者が構成員となって実施される必要がある。[4]
参加者は、どんな人間でも頭数さえそろっておけば良いというものでは当然ない。
つまり、その他にもたくさんの業務を抱えている多くのスタッフの参加が必要となるため、これがリハビリテーション会議の開催のハードルを上げている。
欠席者の扱い
欠席者がいた場合にも、算定要件としてのリハビリテーション会議とは認められる。その一方で、欠席者にはリハビリテーション会議が終了しだい、速やかに情報が共有されなければならない。[5]またその際の照会は不要である。[6]
利用者負担
基本報酬
令和3年度介護報酬改定における、基本報酬の金額設定
利用時間の算出について
利用時間は各利用者ごとに算出算定ができる。[7]
各種加算
通所リハビリテーションにおいて取得可能な加算は下記の通りである。
手厚いサービスを利用者に提供する場合には、この加算の仕組みを丁寧に利用していかなければ、施設経営の持続可能性が担保できないため一職員であっても理解を深めておくことが極めて重要である。
加算項目一覧(概要)[2]
☆は令和3年度改定がある内容。→は名称が変更となったもの。
☆リハビリテーションマネジメント加算
短期集中個別リハビリ実施加算 認知症短期集中リハビリ実施加算 ☆生活行為向上リハビリテーション実施加算 栄養改善加算 ☆栄養スクリーニング加算 → 口腔・栄養スクリーニング加算 ☆口腔機能向上加算 ☆社会参加支援加算 → 移行支援加算 若年性認知症利用者受入加算 リハビリテーション提供体制加算 重度療養管理加算 中重度者ケア体制加算 サービス提供体制強化加算 介護職員処遇改善加算 介護職員等特定処遇改善加算 ☆入浴介助に対する加算
減算項目一覧
介護予防リハビリテーションの減算 同一建物に居住する場合 送迎減算
詳細な加算減算の内容と点数について
リハビリテーションマネジメント加算
多職種が協働し、継続的にリハビリテー ションの質を管理した場合に算定
(A)イ 560単位 (6月越で240単位)医師監督の元、リハ職が説明。 (A)ロ 593単位 (6月越で273単位)医師監督の元、リハ職が説明。LIFEが必要 (B)イ 830単位 (6月越で510単位)医師の説明 (B)ロ 863単位 (6月越で510単位)医師の説明 LIFEが必要
リハビリテーション計画書
計画書中に、下記のような項目が必要である。
利用者と家族の希望、健康状態(原疾患 名、経過)、参加の状況、心身機能の評価、活動の評価(改善の可能性)、リハビリテーションの目標と具体的支援内容、他職種と共有すべき事項 等
生活行為向上リハビリテーション実施加算
ADL・IADL、社会参加などの生活行為の向上に焦点を当てた新たな生活行為向上リハビリテーションとして、居宅などの実際の生活場面における具体的な指導等において、訪問と通所を組み合わせることが可能となるような新たな報酬体系を導入する。
前提として、リハビリテーションマネジメント加算を算定していること。令和3年度改定によって、報酬の構造がシンプルとなり、6月移行の基本報酬の減額がなくなった。
単位数
令和3年度変更後
1250単位/月
令和3年度変更前
開始月から起算して3月以内の期間に行われた場合 2000単位/月 開始月から起算して3月超6月以内の期間に行われた場合 1000単位/月
加算要件
1 生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士若しくは言語聴覚士が配置されていること。
2 生活行為の内容の充実を図るための目標及び当該目標を踏まえたリハビリテーションの実施頻度、実施場所及び実施時間等が記載されたリハビリテーション実施計画をあらかじめ定めて、リハビリテーションを提供すること。
3 当該計画で定めた指定通所リハビリテーションの実施期間中に指定通所リハビリテーションの提供を終了した日前1月以内に、リハビリテーション会議を開催 し、リハビリテーションの目標の達成状況を報告すること。
4 通所リハビリテーション費におけるリハビリテーションマネジメント加算(II)を算定していること。
短期集中個別リハビリテーション実施加算
1週につきおおむね2日以上、1日あたり40分以上の個別にリハビリテーションを実施する
退院(所)日又は認定日から起算して 3月以内 110単位/日
認知症短期集中リハビリテーション実施加算
認知症高齢者は、個別のリハビリテーションよりも状況が理解されやすい集団活動や何をするのかイメージできる活動の方が参加しやす いため、認知症の状態に合わせた効果的な方法や介入頻度・時間を選択できる新たな報酬体系を追加する。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(I) 240単位/日 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(II)1920単位/月
算定要件
MMSE又はHDS-R(認知機能検査)において、概ね5~25点に相当する利用者や、リハビリテーションに関する専門的な研修を受けた医師により、生活機能の向上が見込める場合は、認知症のご利用者を対象とし、対象者の認知機能や生活環境を踏まえ、生活機能を改善するためのリハビリテーションを実施すること。
退院、退所または通所開始日から起算して3ヵ月以内であり、かつ過去3か月の間に認知症短期集中リハビリテーション実施加算を算定していないこと。
通所リハビリテーション費におけるリハビリテーションマネジメント加算(I)又は(II)を算定していること。(リハビリテーションマネジメント(Ⅰ)の包括化により事実上制約条件としては消滅)
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(I)
1週間に2日を限度として個別にリハビリテーションを実施すること。
具体的には、記憶などの認知機能訓練や、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを週二日まで実施する。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(II)
1月に4回以上リハビリテーションを実施すること。(8回以上が望ましい)
利用者の居宅を訪問、生活環境の把握、応用動作能力等の評価等を行うこと。リハビリテーションの実施頻度、実施場所及び実施時間等が記載された通所リハビリテーション計画を作成し、生活機能の向上に資するリハビリテーションを実施すること。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算の算定が困難な理由
認知症短期集中リハビリテーション実施加算の算定は、短期集中個別リハビリテーション加算と比べると算定件数が少ないと言われている。その理由としては、身体機能改善のため、短期集中個別リハビリテーション加算が優先されることが多いことが最も主要な理由として挙げられている。
入浴介助加算
入浴中の利用者の観察(※)を含む介助を行う場合に算定。 (※)自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、極力利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、加算の対象となる。
Ⅱについては家屋訪問や、環境調整や、入浴指導などを行うことで自宅や生活環境での入浴に関する自立度が向上するのに資する取り組みをおこなうことが算定要件となる。
令和3年度改定後
加算(Ⅰ) 40単位/日 加算(Ⅱ) 60単位/日
令和3年度改定前
50単位/日
口腔・栄養スクリーニング加算
加算(Ⅰ)20単位/回 加算(Ⅱ)5単位/回
口腔機能向上加算
口腔機能向上加算(Ⅰ) 150単位/回 口腔機能向上加算(Ⅱ) 160単位/回 LIFEでの情報提出
栄養アセスメント加算
管理栄養士が必要。外部からの人材調達も可。本人と家族へのフィードバックが必要。またLIFEでの国への報告が必要。
50単位/回
栄養改善加算
必要に応じて、居宅を訪問して状況を確認することが必要となる。
200単位/回
移行支援加算(旧:社会参加支援加算)
通所リハビリテーションの利用によりADL・IADLが向上し、社会参加に資する取組に移行するなど、質の高いリハビリテーションを提供する事業所の体制を評価する。
社会参加に資する取り組みを実施したものの割合が100分の3を超えていること。 社会参加に資する取組とは、指定通所介護、小規模多機能型居宅介護、一般介護予防事業などへ移行すること。 【評価対象期間】 1月1日~12月31日 【届出】 翌年3月15日まで 【算定期間】 翌年4月1日~翌々年3月31日 ※終了後14日~44日以内に訪問にて3月以上参加が継続することを確認
回転率 12月/平均利用延月数 >= 27%であること。(令和3年度、改定前は25%)
単位数
通所:社会参加支援加算 12単位/日
Q&A
移行支援加算における評価対象期間において指定通所リハビリテーションの提供を終了した者には、当該事業所の指定通所リハビリテーション利用を中断したのちに 再開した者も含まれるのか。[7]
移行支援加算における評価対象期間において指定訪問リハビリテーションの提供を終了した者とは、当該通所リハビリテーション事業所の利用を終了し、評価対象期間に利用を再開していない者をいう。
なお、終了後に3月以上が経過した場合で、リハビリテーションが必要であると医師が 判断し当該事業所の利用を再開した時は、新規利用者とみなすことができる。この場合は 評価対象期間に再開した場合でも、終了した者として取り扱う。
社会参加支援加算の算定が困難な理由[2]
利用者や家族のリハビリ継続の希望が強いことが主な理由である。
リハビリテーションによる変化が得られなくとも、また、今後変化を期待できない場合においても、顧客及びその家族の希望があれば、利用は制限されないしできない。
リハビリテーション提供体制加算
リハビリテーション専門職の手厚い配置に対する評価である。
加算内容
3時間以上4時間未満 12単位/回(新設) 4時間以上5時間未満 16単位/回(新設) 5時間以上6時間未満 20単位/回(新設) 6時間以上7時間未満 24単位/回(新設) 7時間以上. 28単位/回(新設)
算定要件
・リハビリテーションマネジメント加算(I)から(IV)までの、いずれかを算定していること。
・指定通所リハビリテーション事業所において、常時、当該事業所に配置されている理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の合計数が、当該事業所の利用者の数が25又はその端数を増すごとに1以上で あること。
サービス提供体制強化加算
介護福祉士の割合が高ければ、加算
介護予防リハビリテーション12ヶ月超の減算
介護予防通所リハビリテーションの利用が、利用開始の属する月から12月を超えた場合 要支援1の場合 20単位/月減算 要支援2の場合 40単位/月減算
参考資料
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 通所リハビリテーション(参考資料)社保審-介護給付費分科会第141回(H29.6.21)参考資料4
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 通所リハビリテーション-厚生労働省
- ↑ 厚生労働省通所リハビリテーション(デイケア)
- ↑ 27.4.1事務連絡介護保険最新情報vol.454「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の送付について〔81〕
- ↑ 27.4.30事務連絡「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.2)(平成27年4月30日)」の送付について〔10〕
- ↑ 27.4.1事務連絡介護保険最新情報vol.454「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」の送付について〔83〕
- ↑ 7.0 7.1 令和3年度介護報酬改定Q&Avol3