仕事術
仕事術は、単位時間あたりの仕事の生産性を増やすために必要不可欠な技術である。
仕事の生産性は、その人が行う仕事の評価に直結する。まずは、時間と業務内容の大枠を見直すことが重要である。そうして方向性を整えることなく、生産性をあげようとしても間違った方向に努力してしまうことが非常に多い。
作業療法士は、日々の忙しい業務の中でも自分自身の仕事をマネジメントすることを蔑ろにしてはならないし、そのためには仕事術を身に付けることが必要である。
作業療法士の仕事術
作業療法士は自らの業務の特性を踏まえた上で、それに最適化した仕事術を開発していくことが大切である。
なぜなら、作業療法士の仕事は様々な要素に影響受けるので、一概に「こうである」と言う雛形を作ることが難しいからである。
しかしながら、もちろん、一般的に重要だと言われている仕事術の中で、作業療法に共通するものもある。
もちろん、作業療法士養成課程の授業の中でそのようなことを教えてくれる学校はほとんどない。教えてもらえるのは国家試験に直結する内容が主となるからである。
しかし、実際の業務を考えたときにはそのような仕事術に関する理解実践がとても重要になる事は言うまでもない。
仕事術を身に付け、日々の仕事の生産性を高めることが患者様や社会療法の対象者の利益を高め、結果として自らの仕事の評価を高めることにつながる。
つまいり、作業療法士は、それらのなかから自らの仕事に必要なものをうまく取り込んで、仕事の中に落とし込んでいくことが必要である。
一般的仕事術の要素
個人としての仕事術は、主にタイムマネジメントとタスクマネジメントの2つに分けることができる。またそれを補助するものとして、スキルマネジメントがある。
タイムマネジメント
時間管理とも言われる。
限られた時間の中で成果を出していくためには時間をうまくコントロールすることが必要である。
時間をコントロールするためには時間を把握しなければならない。
まずは1日の中で自分自身がコントロールすることができる時間がどのくらいあるのかと言う事について把握することが大切である。
手始めに、自分の1日の時間の使い方を細かく記録をとって把握するのが良い。
そうすることで、自分自身が自覚していなかったような細切れの時間の存在や、無駄な時間の使い方に気がつくことができる。
これにより、時間をより有意義に使うためにはどのようにすれば良いかを考える上での手がかりを得ることができる。
タスクマネジメント
上記のタイムマネジメントの結果として作り出した時間を存分に活用するためにも、今自らが行っている仕事に優先順位をつけることが極めて重要である。
これも、現在行っている業務タスクに関して実際にどのような業務を行っているのかについて具体的に書き出しを行ってみるのが良い。
そうすることによって、これまで自分が思いもよらなかった業務の無理や無駄やムラが浮き彫りになってくる。
業務の無理無駄,ムラに関しては個人で解決できる部分については、早急に手をつける。
個人の権限の中では改善が難しい場合には、上司に相談する必要があるためより細かく業務の内容について精査を行いきちんと自らの言葉でその業務が改善される必要があると言うことを伝えられるように準備を行い、上司に対して提案を行う。
もし、何らかの業務が対象者のリハビリテーションにとっての生産性に直結するものではなく、儀式として行われているだけと判断されるものについては、廃止まで含めた業務内容の再考が必要である。
特に、もしも、その業務を行うことが他の業務の逼迫する等のマイナスの影響与えている場合、その事実をきちんと上司にもわかるよう説明し日々の業務の中からその要素を取り除くように働きかけを行っていくことが必要である。その働きかけを行っても上司が理解しない場合には、上司を差し替えるよう上層部に対して働きかけを行っていくことが必要となるので、その際のやりとりについては必要に応じて記録を取っておくことが望ましい。
スキルマネジメント
スキルマネジメントとは、個々の業務の質、技術力の改善をとおして、単位時間あたりの生産性を高めるための仕事術である。
作業療法士であれば、必要な成果を出すために必要となる手技を作業療法対象者により負担の少ない形で提供できるようなスキルである。
接遇を含めた対人スキルもこの中に含まれる。
PDCAサイクルをはじめとした試行錯誤による改善術の習熟がスキルマネジメントには欠かせない。
作業療法対象者の方の全体像をしっかりと捉えた上でのより視野の広い問題解決につなげるため、作業療法士にとってはフレームワークの習熟も重要である。