「ICF」の版間の差分
編集の要約なし |
|||
(同じ利用者による、間の2版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
より積極的に。柔軟に。健康の概念を再定義します。 | |||
[[File:ICF概念図.png|thumb]] | |||
==概要== | |||
ICF、国際生活機能分類は、概念としてはユニークかつ重要である。 | ICF、国際生活機能分類は、概念としてはユニークかつ重要である。 | ||
44行目: | 50行目: | ||
ましてや、[[OTS]]にとってICFを実習中に使おうとしてうまくいかないことはむしろ当然なので、大して悩む必要はない。 | ましてや、[[OTS]]にとってICFを実習中に使おうとしてうまくいかないことはむしろ当然なので、大して悩む必要はない。 | ||
さらには、ICFを使いこなして臨床を行うスタッフの数自体がそこまで多くない。 | |||
共通言語として存在しても、だれもネイティブな言語として使いこなせていない現場も少なくない。 | |||
それもこれも、内容が細かすぎて学習コストが異様に高い事に原因があると言える。 | |||
==各項目の要素目安== | ==各項目の要素目安== | ||
ICFを難しく考えすぎると、触れる事自体が苦痛になる事もあると思われる。 | |||
ある程度厳密に分類することよりも、相互の関係性を捉えたり、表現することの方が本質的だし大切である。 | |||
===心身状態・身体構造=== | ===心身状態・身体構造=== |
2021年4月28日 (水) 10:01時点における最新版
より積極的に。柔軟に。健康の概念を再定義します。
概要
ICF、国際生活機能分類は、概念としてはユニークかつ重要である。
一方で、見た目よりも相当難しいということを知っておかなければならない。つまり、実用は非常に困難であるし、学習コストが高い。
幅広い事象に対応するため、項目が多岐に渡りすぎている。このように緩やかなフレームワークなので初学者をはじめとした専門的な学習を行なっていない人にとっては使いづらい。そのため、初心者はまずADOCから始めるのが良い。
OTSのみならず、ICFがよくわからないからと立ち止まってしまうのはナンセンスである。フレームワークは現場を効率化するために用いるものであって停止させるために用いるものでは無い。ICFはシンプルに見えて、それゆえに実用の面では曖昧さが欠点となりがちであることを十分に意識すべきである。
後述する欠点でも述べているような特性のために、OTSにとってはやや難易度が高いフレームワークであると言わざるを得ないので、臨床で用いるのであればより使いやすい理論やフレームワークを用いることを推奨したい。
ICFは、障害よりも在り方に焦点を当てる意味合いで開発された枠組みである。
概念図
コンセプト
ICFのコンセプトは、各要素が相互に影響しうること、またそれによって、QOLが幅広いアプローチによって向上しうるというアイディアにある。
大雑把にいえば、「QOL向上するためには、必ず障害を取り除かなければならない」、という思考から自由になることで、より幅広い視点からQOLの向上を考えようということがICFのコンセプトであるといえる。
作業療法との関連
作業療法の重要なミッションの一つは、対象者の生活を、対象者が臨む方向性に向けて再構築することを支援することである。
この過程で、ICFを使って、現状を明らかにし、作業療法士が作業療法の対象者と認識を共有することができる。
ICFを用いることで、作業療法士はある作業や生活行為の改善が、健康状態に対してどのような影響を与えるのかを対象者に図示することができるからである。
ICFの各要素の中から、対象者のQOLに良い変化を引き起こしうる要素について分析発見し、「ここが変えられる」「即効性が高い」などを見極められることが作業療法士の大きな専門性の一つと言える。
利点
経験経験を重ねることで様々なフレームワークを使いこなせるようになった後でも十分に活用できるのがICFの良いところである。
むしろ、他のフレームワークと組み合わせて使ったり、作業療法の強みとの相乗効果の中でこそ力を発揮する。
欠点
学習コストが高く、使いこなすのが極めて難しい。
そもそも作業療法士の多くにとってICFを十分に使いこなすことはとても難しい。
ましてや、OTSにとってICFを実習中に使おうとしてうまくいかないことはむしろ当然なので、大して悩む必要はない。
さらには、ICFを使いこなして臨床を行うスタッフの数自体がそこまで多くない。
共通言語として存在しても、だれもネイティブな言語として使いこなせていない現場も少なくない。
それもこれも、内容が細かすぎて学習コストが異様に高い事に原因があると言える。
各項目の要素目安
ICFを難しく考えすぎると、触れる事自体が苦痛になる事もあると思われる。
ある程度厳密に分類することよりも、相互の関係性を捉えたり、表現することの方が本質的だし大切である。
心身状態・身体構造
生物、人体構造、生理学、病理学に関連するような項目
活動
個人のレベルでの生活行為に関する項目
参加
人の集団や、家族、地域、社会、組織、国家等に関する生活行為に関する項目
環境因子
その人の文化圏や、生活上の環境、経済事情など
個人因子
趣味思考、好み、好き嫌い、こうしたい、こうしたくない。や、その人の生き様。人生を踏まえてのその人ならでは。に関する要素。
欠点
MECEでないこと
上記を見ていただいて、すぐにわかる通り、ICFは項目が完全なMECEではない。
たとえば、料理という項目は、IADLと見ることで活動とすることもできるし、家族に関する生活行為と考えると、参加でもある。
このため、OTSが、ICFに初めて出くわしたときに、「この項目は一体どこに分類すればいいのでしょうか」と迷うことが、毎年の恒例行事のように巻き起こるが、それは、MECEでないから当たり前なのである。
つまり、ICFは使用者に解釈の自由度を持たせることができる特徴を備える一方で、それはつまりどの項目に要素を分類すべきなのかが明確でない状況が生じる。
それゆえに、要素が重複してしまう、または分類に迷いが生じやすい。
これにより、OTSだけでなく、臨床に立つ作業療法士やその他のスタッフにも運用上の迷いが生じやすい。
その弊害の結果として、言うほど共通言語として使いこなせる現場職員が多くない現状がある。
作業療法での利用を念頭とした枠組みではない
作業療法士が問題解決を考えるときの頭の使い方に完全に沿ったものではないため、作業療法初学者がこのフレームワークを持ちで計画を立案しようとするとかなり難しい。
ある程度作業療法士としての臨床での経験を積んだ上でこのフレームワークを使いこなそうとすることに関しては全く問題ないしむしろ推奨される。
日本語版が翻訳のせいでわかりにくい
また、英語で読むよりも日本語で読むとわかりにくいのが最大の欠点である。
国際的な活用よりも現場での運用を優先する時、ICFは使い勝手が良いとは決して言えない。
そのため、ちゃんと使うなら、英語で使いたいところ。