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ICFを用いることで、[[作業療法士]]はある[[作業]]や[[生活行為]]の改善が、健康状態に対してどのような影響を与えるのかを対象者に図示することができるからである。 | |||
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2020年9月13日 (日) 16:05時点における版
ICF、国際生活機能分類は、障害よりも在り方に焦点を当てる意味合いで開発された枠組みである。
概念図
コンセプト
ICFのコンセプトは、各要素が相互に影響しうること、またそれによって、QOLが幅広いアプローチによって向上しうるというアイディアにある。
大雑把にいえば、「QOL向上するためには、必ず障害を取り除かなければならない」、という思考から自由になることで、より幅広い視点からQOLの向上を考えようということがICFのコンセプトであるといえる。
作業療法との関連
作業療法の重要なミッションの一つは、対象者の生活を、対象者が臨む方向性に向けて再構築することを支援することである。
この過程で、ICFを使って、現状を明らかにし、作業療法士が作業療法の対象者と認識を共有することができる。
ICFを用いることで、作業療法士はある作業や生活行為の改善が、健康状態に対してどのような影響を与えるのかを対象者に図示することができるからである。
各項目の要素目安
心身状態・身体構造
生物、人体構造、生理学、病理学に関連するような項目
活動
個人のレベルでの生活行為に関する項目
参加
人の集団や、家族、地域、社会、組織、国家等に関する生活行為に関する項目
環境因子
その人の文化圏や、生活上の環境、経済事情など
個人因子
趣味思考、好み、好き嫌い、こうしたい、こうしたくない。や、その人の生き様。人生を踏まえてのその人ならでは。に関する要素。
欠点
MECEでないこと
上記を見ていただいて、すぐにわかる通り、ICFは項目が完全なMECEではない。
たとえば、料理という項目は、IADLと見ることで活動とすることもできるし、家族に関する生活行為と考えると、参加でもある。
このため、OTSが、ICFに初めて出くわしたときに、「この項目は一体どこに分類すればいいのでしょうか」と迷うことが、毎年の恒例行事のように巻き起こるが、それは、MECEでないから当たり前なのである。
つまり、ICFは使用者に解釈の自由度を持たせることができる特徴を備える一方で、それはつまりどの項目に要素を分類すべきなのかが明確でない状況が生じる。
それゆえに、要素が重複してしまう、または分類に迷いが生じやすい。
これにより、OTSだけでなく、臨床に立つ作業療法士やその他のスタッフにも運用上の迷いが生じやすい。
その弊害の結果として、言うほど共通言語として使いこなせる現場職員が多くない現状がある。
日本語版が翻訳のせいでわかりにくい
また、英語で読むよりも日本語で読むとわかりにくいのが最大の欠点である。
国際的な活用よりも現場での運用を優先する時、ICFは使い勝手が良いとは決して言えない。
そのため、ちゃんと使うなら、英語で使いたいところ。