作業剥奪
自分ではどうにもできないことが要因で、やりたいことができないこと。
概要
人は作業を自分でできる状態にあることが多い。
これが何らかの理由で、しかも、特に自分ではどうすることもできない理由で作業ができない状態を強いられることを作業剥奪という。
たとえば2020年のCOVID-19 流行にともなう所謂コロナ禍においては多くの人が、それまで出来ていた活動が急激に大いに制限された。
多くの人が体感的に作業剥奪の状態を体験することになった。
不条理性
突然の作業剥奪は、自分の力ではどうしようもない不条理によって生じることがある。
それによって、いわゆる「心の折れた」状態となってしまうことがある。作業療法士はそのような人たちに、寄り添い支援ができる。
失業状態
長期間の失業が幸福感や自尊心の低下、無気力さ、コントロールを喪失した感覚などに関連している[1]。長期的な失業が学習性無力感を助長し、その人が自分の生活をコントロールするモチベーションを失い、悲観的になることを示唆している。
作業剥奪の例
実社会の中にも、作業剥奪の例はありふれている。
ありふれているだけに、この問題を解決するには、非常に高度な専門性が必要になる。
COVID-19流行下の社会
日本全体が経験した例としては、COVID-19の流行による社会的な環境変化を背景としたものがある。
詳細は、COVID-19#作業剥奪に極めて大きな影響の項目を参照のこと。
患者様の行動制限
リスク管理を理由に行動制限が行われることは、現実的によくある。
たとえば、入院入所中の認知症患者様のトイレ制限などがある。トイレ業務に回る職員が確保できないことが原因である。
これは、施設の運営施設基準ギリギリの人数確保しか行っていないという、施設側の経済的理由等で本人希望のトイレが使えないことはよくある。
職員が安定雇用できるだけのお金が現場に回っていないのであれば経営的な原因であるし、人数的に十分であるはずなのに実現できない場合には、現場職員の実力不足ないし、職務怠慢などが原因として考えられる。
原因ともあれ、マンパワー的に解決困難であるとして、トイレ業務の介助よりも時間的にもマンパワー的にもコストの必要ないオシメの着用が選択肢になる。
誰が悪いとも言えなくしてしまっているところが、一種の不条理である。
外国人収容者
外国人収容者に限らず、人間を「ただ生きているだけ」の環境に置くことは、人間にどのような影響を与えるだろうか。