会話
会話は、生活行為としても、作業療法の過程としても、目的としても極めて重要な要素である。なぜなら、ヒトは社会的動物であり、人との会話によって多くの社会的な仕組みに参加する。また単純に会話は、人にとってもっとも身近な作業の一つである。
それゆえ、うまくいかせるか、使えるかが作業療法の成果を、非常に大きく左右する。
ひとと会話
人は自分の考えを言葉にして他人に伝える。
また、他人の考えを言葉で受けとり、理解する。
会話は、コミュニケーションの大きな部分を占めひととひととのつながりをつくる。
人は誰かの存在無しには生きていけない。
会話は、人にとって極めて重要な作業である。
会話に必要な能力
発語、発声、構音能力はもちろん、相手の状況を類推するなどの、認知機能面の能力は円滑な会話によるコミュニケーションには欠かせない。
また文化的な様式についての知識とその運用は、格式や格調を重んじる組織や社会の中においては、円滑さの為に有用である。
最も、一番必要なのは、相手への敬意と思いやりであろう。
会話の障害
本来的なリハビリテーション職は言語聴覚士であり、本来であれば各施設につき1名ずつ、言語聴覚士を雇用している状態が望ましい。一方で経営資源や経営者の方針によって、そのような状態が作れない現実があり、作業療法士がリハビリテーションを行わざるを得ない場合がある。
但し、嚥下等に関する生命のリスクが高いものについては医師の直接的な監督や行き届いたリスク管理などがない限り行うべきではないと思われる。
会話等については、作業療法士が作業の一環として行うことも十分に考えられるため、理解を深めておくことが重要である。
会話が障害される疾患、状態等
会話と作業療法士
治療手段としての会話は、作業療法士にとっては、従事する領域関係なく非常に重要な治療を円滑化するための手段であり、習得しておくべき技術である。
何よりインフォームドコンセントが当たり前の時代において、対象者にうまく説明ができないことは致命的である。
さらに、他職種連携が重要、地域包括ケアシステムが必要と言われる時代で、会話が出来ることは大きなアドバンテージである。
何より、対象者や後進に対して必要な情報を提供する上で、欠くことができない。
楽しみとしての会話
親しい人との他愛のない会話がひとの心を癒す。
高齢者の頑なさを幼子のことばがときほぐす。
人は他人との会話に快刺激を感じる。
楽しみとしての会話を保証するためには、なるべくストレスなく会話が出来るよう、作業療法士はその戦略を考えなければならない。
情報伝達手段としての会話
人は、会話を報連相の時にも会話を用いる。
会話は、必要な情報を的確に伝える手段として、極めて重要である。
会話は、日常生活や仕事において、実務能力や生産性に極めて大きく影響する。
情報伝達手段としての会話の技術、うまい下手は練習や訓練によってある程度習得が可能である。
作業療法士は、基本を押さえて、必要に応じて人に伝達出来るよう準備しておくことが必要である。
作業療法での技術としての会話とその技術
会話を治療的手段の一つとして、意図して作業療法において用いるため、作業療法士は会話について一つの技術として理解しておく必要がある。
会話の基本となる技術は下記のように分類できる。
聞く
ただただ聞く、と、合目的性に合わせて聞く2通りがあり使い分けが大切である。
話す
伝達するべき事項を伝え、変容を促がす効果があるあることが大切である。
質問
自発的な思考を促すことで、広がりを促がす。
称賛
相手を肯定し、エンパワメントする。