作業療法士養成課程
日本では作業療法士の資格を取るためには作業療法士養成課程を経るのが基本である。
作業療法士養成課程の学生のことをOTSという。
作業療法士になるための方法については、作業療法士になるにはを参照
また、作業療法と作業療法士に関する教育のページも参考となる。
作業療法士養成課程
作業療法士は国家資格であり、法律で定められた課程を修了しなければ、国家試験合否以前に、国家資格の受験をすることすらできない。
その課程が作業療法士養成課程である。
作業療法士養成課程を修了するには、基本的に作業療法士養成校に入学し、そこで必要なカリキュラムを修めることが必要である。
作業療法士養成課程の法的根拠
必要なカリキュラムは法律で定められている。
また、そのカリキュラムを提供できる学校の設備面や人員の条件も法律で定められており、その法律に適合する条件を兼ね備えた学校にのみ認可がおりている。
上記を定めた法律は、理学療法士及び作業療法士法がそれに当たる。
特に、上記の理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則が、作業療法士養成課程に関する内容を定めた部分である。
もし今後、作業療法士養成校のカリキュラムが変わるとしたらこの法律に変更が加えられるか、追加で法律が立案されることになる。
OTS
作業療法士養成課程の学生のことを、学校内や医療福祉関連業界では、一般にOTSと呼称する。
OTSとは、作業療法士養成課程の学生(Occasional therapist student)のことである。
OTSという用語は、国家資格者である作業療法士を意味するOTR と OTS の区別のために使われている。教育の現場はもちろん、主に作業療法士のいる職場、特に実習生の受け入れがある現場で使われる機会がある用語である。
作業療法士は、必ず一度はOTSであったことがある。
実は、OTSという略語は、が作業療法士養成課程の学生のことであるという記載はwikipediaにすら載っていない。
作業療法士や医療、リハビリテーション、介護の業界では知っていて当然のように使われているが、その業界から一歩外に出ると通用しない略語の一つである。
入学やOTSになる前にやっておくべきこと
カリキュラムの確認
これから自分がどのような科目や内容について勉強することになるかを確認しておくことと、それらをどのように学ぼうかと考えてみることが大切である。
具体的にそれらの内容について予習する必要全くない。
ただ気構えや心構えとして自分がこれからどのようなことを学びまたどのような行動をとっていかなければいけないのかということについて具体的にイメージしてみるそーゆー準備をしておくことが大切である。
たとえば、1つ言えるのは作業療法士は医学系の勉強も多いので当然単純暗記能力を問われる場面も多い。
そのような単純暗記を問われるような教科科目授業を受けて自分自身がどのようにそれを情報化しまたテストでアウトプットできるような状態にもっていくのかと言う戦略については漠然とで構わないのでイメージしてみることが大切と思われる。
簡単なパソコンITスキルに触れておく
ほとんどの実習先ではレポートの提出などで再々パソコンとプリンターを使用することになる。そのため、普段の授業の段階からパソコンを活用する癖をつけておく。
特に、アウトプットに関するスキルが大切である。
入学後のOTSに役立つ情報
日本作業療法士学生連盟
意識高いOTSの皆さんが頑張って学生連盟運営して下さってるので、繋がってみると、モチベーションアップできて良いかもしれない。
このサイトとは違って学生目線ならではの、有益な情報が見つかるかもしれないし、楽しい出会いがあるかもしれない。
https://jaotshonbu.wixsite.com/jaots
作業療法士養成課程の問題点
現代の日本の作業療法士養成課程においては、いくつかの問題が確実に存在する。
能力水準のミスマッチ問題
本来学校は社会から作業療法士になるべき人間を取捨選択するフィルタリングの機能を果たす役割を負っていると言える。
このフィルタリングの機能がうまく働かない結果として、OTSの作業療法士適正に関して、実習や就職後の段階まで不適性の露呈が先送りされる事例が散見される。
その一端として、必要最低限臨床の現場で要求される情報処理能力水準に比して、入学できる者の能力水準がミスマッチを起こしてしまっていることがある。
これが、現状における作業療法士養成課程での最大の問題と言えるが、古くて新しい問題である。
中学受験などでたびたび取り沙汰される問題と同一構造であり、少子高齢社会における社会一般としての問題でもある。
中学受験でよく問題となる構造は、小学生がたとえ受験で頑張って高偏差値の学校になんとか入学することができたとして、授業の進行についていけなかったり、周囲に馴染めなかったりして、結局心身に不調をきたすという構造である。このように、自分の能力とあまりに乖離した環境では、成長のメリットよりも心身の不健康につながるデメリットの方が大きいのである。
作業療法士養成課程においても、同様の問題がしばしばであり、その顕著な例として実習においてはしばしばこのような能力乖離に由来する心身の不健康が頻発する。さらには、なんとか資格を取得して働き始めてもその業務を継続することが難しくなってしまうという、本人にとっても辛い出来事が少ないとは言えない頻度で見受けられる。
受験偏差値では、見抜くことが困難な適性が作業療法士養成校に入学する以前に備わっていることが前提となっているカリキュラムが提供されているにもかかわらず、実際にはそのような素質がない人が作業療法士養成校に入学してしまった結果として、卒業しても十分に必要な技能や能力が備わっていないという事態が散見される。
これは、誰もキチンとNOと言えない日本的な特性の一つと言えるが、ダメなものはダメとして、きちんと引導を渡すのが本人のためでもあるし、教え導く側の礼儀であり、義務である。
決して経営資源のためにと、素質のないものを入学させ、散々搾り取っておいてやっぱり向いてないですというのは、邪悪以外の何者でもない。
そのような邪悪が作業療法士養成課程においてまかり通っているとしたら、これは国家による監督の不全であり、経営者の社会に対する裏切りである。
質が伴わないものに資格を与えてとりあえず数を増やしても、顧客の利益を損ねるだけなので、断固としてこれは許してはならない傾向である。
受験動機の不完全性問題
積極的に作業療法士になりたいわけではない人が、作業療法士養成課程に進みがち問題がある。
これは、入学したあとに、勉強などでつまづくとき、心の置き場がなくなって、OTS本人が大変苦しい思いをするのでほんとうにお勧めできないものである。
また、今の話とはやや質は異なるが、国公立大学の場合には、その大学の看板が欲しかっただけであり作業療法士という仕事について、きちんと理解して受験合格する人間の方が少ない学校もある。その証拠に、卒業して資格を取得しても一般企業に就職する割合が高い学校も中にはある。
これは、上記の例とは逆に作業療法士として活躍するために必要な能力が十分すぎるほど備わっている人材が、その他の業界に行ってしまうということを意味している。
作業療法士として活躍するために必要な能力は、決して低くない。むしろそこそこの水準で良い代わりに非常にたくさんの事柄をそれなりにこなす器用さや情報処理能力、コミュニケーション能力、学習能力が要求される点では、要求される能力はむしろ高いとさえ言える。
そのような業界において、有名大学に入学しうるだけの人材は業界をリードすることを期待される人材であるが、それがその他の業界に流出するのは、作業療法士になりたくて、作業療法士養成校に入学するとは限らないという動機の不一致の問題がある。
これは、作業療法士の仕事についての一般の認知度が低いことが全ての諸悪の根源なので、広報活動によって改善が期待できる。
つまり、作業療法という仕事とその本質について、社会一般に知らしめることで、不幸なミスマッチを減らして、本当に作業療法士になりたいと思って入学する人間の割合を増やすことができる。
これが、短期間で高成長し、まよわず作業療法に邁進する人材がどんどん育って顧客利益を高めることにつながる。
もっとも、この問題も何でもかんでも入学させる養成校のフィルタリングの甘さと、それについてなんの問題提起もしない周囲と国の怠慢が招いた問題とも言えるので、気づいた時にどんどん声をあげていくことも大事である。
養成校における指導内容のミスマッチ問題
養成校で教える内容は、学校ごとで多少の違いというか特色がある。
学校によっては、実際の臨床の現場であまり役に立たない内容もありがたく教えていただける。
役に立てるように、結びつけるのは確かに個々のOTSに委ねられるべき内容であり、その豊かさは本来作業療法にあって然るべきものである。
だがしかし、それは優秀な人材に当てはまる事柄であって、そこまで結び付けて考えられる程度に優秀で作業療法について積極的な人材の割合は、上2つの問題点を背景として決して高くはないのが現状であり、現実である。
その現実から目を背けて理想ばかり語っていては、決してうまくいかないのは、通常のリハビリテーションと同じである。
まずは、現状を的確に評価し、その後に然るべき対応をとることが必要である。
そのようにして考えた時、学校によってはより臨床的な内容により多くの時間を割くことができるように、カリキュラムを大胆に変更するべきである。
どんなに病理に詳しくても、目の前の対象者の評価が適切に行えない限り、それらは決して顧客利益にはつながらない。
養成校を卒業した後、自らで必要な技能を身につけていくことができずに仕事ができないという目で見られる人も多い。
ハイパフォーマーなOTSばかりが揃っている学校をのぞいて、もっと具体的でより臨床よりのカリキュラムに授業内容が変更されることが望ましい。
そのためには、国に対して働きかけを行っていくことが重要である。
そのようにして、初めてOTS全体のボトムアップを図ることができ、ある程度の質が担保された人材が作業療法士として臨床にでることを保証できる。